猫沢エミさんのインスタグラム写真 - (猫沢エミInstagram)「《パリ・盗難日記 / 18日目》 10月29日、日曜日の朝。昨夜、午前３時に冬時間に切り替わった。（どう切り替わるのかというと、午前３時になると2時に1時間戻される）。人間がいくら利便性を考えて時間を戻そうが、猫たちの体内時計も冬時間になるわけでなく、今朝もしっかり夏時間のまま「クロケットちょーだい！」とふたりに起こされた。人間だって、たった1時間でも妙な感覚で、なんか調子が狂う。近頃ピガは、キーボードの上に乗って奏でまくるとママは飛び起きる、と覚えたらしく、ジミー・スミスばりのスーパープレイでキーがへし折られるんじゃないかと毎朝気が気でない。モヤモヤするのも大概うんざりして、サッとシャワーを浴びて気分を切り替えて、部屋を無心で掃除する。掃除はいいやつだ。見た目のチリと一緒に心のモヤモヤも一掃してくれる。私がもしも一己の現象ならば、彼氏は掃除がいい。私の私の彼は〜　きれい好き〜♪ と歌ってみるも、想像以上に傷ついている自分に驚くわ。まだ、事件前のように気軽に外に出るのが怖いのだけど、こもっていてもいいことないし、せっかくの日曜日だしとバスチーユに暮らす、デュカスグループのメニュー開発シェフ、通称P @hisanobushigeta と奥さまのえーこちゃん @eico0614 ちにブランチへ。先日、私のiPhoneをカードで買ってくれた、ふみこ姐 @whereisfumiko と、OGATAのシェフパティシエみきちゃん @iiimiki と愛犬ローラもやってきて、わいわい話し始めた。「私たちも１ヶ月のヴァカンスでイランに行こうとしたら、シャルル・ド・ゴールの某エアライン会社の係員に止められて、全部おじゃんになったことがあるんだよ」とP＆えーこ。い、１ヶ月…👀⁉️ Pはスパイスハンターでもあり、世界のあらゆる辺境の地を巡っている。やっぱみんな、ひとつやふたつは経験してんなー………。みんなと話していて、この長引くショックの原因がわかった。私はこれまで日本のパスポートに守られて〝地球上に私という人間が存在することの証明〟について、疑われたり、自分を疑った経験がない、世界（世間）知らずなお嬢（おば）ちゃんでしかなかったということ。これは、知識として知っている、とは別の話で、実際に国境を越える空港で拒絶された体感での話だ。そして、私は自分の存在に誇りを持っていたんだっていう、至極当たり前なことにも気づいた。その誇りが汚された。しかも職務によって与えられた権限を振りかざす、無知な地上係員に。とはいえ後から聞いた話によると、越境できると判断して通した旅行者がパスポートコントロールで跳ねられて戻ってくると、航空会社の地上係員の責任問題になるらしい。それゆえ、少しでもその危険性がある旅行者は全部弾いてしまえ、というのが正直なところなのだろう。でも、パスポートには載ってない。その人がどんなに人間としていい人だとか、周りの人を助けているだとか、気は小さいけど正直者だとか、そうした真の評価は。お金や力のある国に生まれれば信用のあるパスポートによって守られ、貧しくて力のない国に生まれれば、それだけで疑われる。ただそこに生まれたというだけで。日本に暮らしていた時、コンビニで働く外国人を邪険に扱う客を見るたびに「おまえにできるのかよ。外国語でめちゃ煩雑なコンビニの業務がよ💢」と心の中で叫んでた。日本語という世界でもかなり特殊な言葉と習慣を働きながら覚え、国の家族に仕送りをしている外国人の気持ち、立場を一度も考えたことのない人が、そういう下卑たことをするのだろう。世界が狭いって、それだけで無自覚に相手を傷つけることもあるのだ。日本人の友達と美味しいごはんをいただいて、日本語で散々フランスの文句言ったら、ものすごくスッキリした😂バスチーユからの帰り道。ちょっと人の多いところへ行くと動悸がして、右も左もわからなくなり、気がついたら反対方向に乗ってメトロを行ったり来たりしている自分。うーむ…….このトラウマ、なんとかせねばなるまいよ。 #猫パリ　#猫沢エミのインターナショナル五十路ライフシフト #猫沢エミリーパリへ行く #猫沢エミのパリ盗難日記」11月2日 16時13分