猫沢エミさんのインスタグラム写真 - (猫沢エミInstagram)「《パリ・盗難日記 / 13日目》本当ならば、《パリ・盗難日記》は《奪還！レユニオン島ヴァカンス》に変わるはずだった。オルリー空港まで行って、全身に虚無感を浴びたのがよかったのか、唐揚げをあげたのがよかったのか知らないが、昨夜は死んだように眠って、ユピガの「ごはんちょーだい」コールですっきり目が覚めた。さすがに二度のヴァカンスNGはもっと凹むかと思ったら、予想に反してそうでもない（いや、ちょっとは哀しいよ）。散々がんばって、できるだけのことをして、ダメだったからだろうか。人間、やるだけやったら後を引き摺らないものかもしれないな。昨日、タタまどか @moka.lby に「明日は1日くらい、何もしないで惚けてろ」と言われた。たしかにあまりにも余白のない日々だったと、パジャマのまま朝ごはんセットをソファー席に持ってきて、Netflixで日本の連ドラをぼんやり見る。ああ、またB案を生きているなと思う。しかしこのB案では、誰も死んでない。誰も傷ついていないし、手続きが終われば元の穏やかな時間が戻ってくる。まあ、そうはわかっていても、今回の災難は「死ぬこと」以外では、なかなかにキツイ豪華アソートボックスだ。午後、タタまどかが今日もお茶を飲みにきてくれた。その際、滞在許可証の再申請の話になった。衝撃で昨日からテンになっていた目が、ハッ！とカッピラいた(*✧×✧*)。レユニオン島行きを未練たらしく考えている暇などなかった。このままで行くと、日本に行けなくなる‼︎ しかも再申請には、所轄のプレフェクチュール（警察署）ネットでの予約が必要なのだが、これがなかなか取れないという話はよく耳にする。ヤバい。とてもヤバい。まどかちゃんが帰った後、危機回避スイッチがオンになった私は、PCに向かって猛然と作業をし始めた。予想通り、滞在許可証の再申請のための予約ページは、先の先まで埋まっている……いや、緊急対応できる予約なし（とにかくひたすら朝から並ぶ）で駆け込んでレセピセ（直訳：受領書。carte de séjour の切り替え時期や、今回の盗難などがあった場合、再申請期間に、仮で発行される証明書）が取れるプレフェクチュールが他にあるはず！　しかし、こうした最新情報を掴むのがなかなかに難しい。在住歴20年を超える猛者揃いの私周辺の友達は、すでに10年カードと呼ばれる長期滞在許可証を取得済みで、しかも「ここ数年のコロナで申請システムが変わったから、今のは全然わからない」という人が多いのだ。しかも、私と同じ職業登録で、同じ区に住み、同じく近ごろ盗難に遭った、などという同じ条件の人を探すのは、ほぼ無理だ。あ！　ゆみこ‼️ ゆみこ @yumikooka3 は、これまでフランスでありとあらゆる苦難に見舞われて、ひとりで突破した猛者のひとり。彼女なら、駆け込み寺を知っているかもしれない。と、連絡してみると、駆け込み寺の場合、区によって住所が異なるとかで、「多分、エミちゃんが住んでる区だと、これだと思うんですよね〜」と、それらしきプレフェクチュールの住所を送ってきてくれた。「これ、最新情報だよね？」「2023年8月って書いてあるから最新だと思いますよ」。ゆみこも、そして私もかつて初代愛娘のピキをフランスから日本へ帰すための動物移民局巡りで経験済みの〝サイトに書いてある住所に事務所がない〟現象。私の場合、19区にあると表示されていた当時の動物移民局へ行ってみると、そこはすでに託児所になっていて、彼に電話して再度調べ直してもらったら、別の区に移転していたと。前出の会話は、こんな理由である。ひとまず駆け込める寺がわかっただけでもちょっとパニックが治った（ゆみこ、ありがとう！）。そう、日本へ行けないかもしれないということに気づいてから、ずっと心臓が跳ねていた。「大丈夫！なんとかなる……..今夜、悪い想像したって何もいいことなんかない」と言葉に出して、自分に言い聞かせる。長い在住者でも、本当はよくわからないのだ。フランスの社会手続きの、特に滞在許可証の申請に関する情報は謎に包まれた部分が多く、条件もよく変わる。そして、皆そこを突破していても、私のように記述して残す、ということでもしない限り、細かなところは忘れてしまう。しかも、大概ひどい目に遭うパターンが多くて、〝辛すぎて覚えていない〟なんて人もいる。パリの夜。言語関係なく、そもそも社会手続きがさほど得意ではないある日本人の女がひとり、フランスの公的機関のお粗末な作りのサイトに身萌えている。 #猫パリ　#猫沢エミのインターナショナル五十路ライフシフト #猫沢エミリーパリへ行く #猫沢エミのパリ盗難日記 #ユピ坊」10月25日 22時45分