猫沢エミのインスタグラム(necozawaemi) - 10月24日 20時29分
《パリ・盗難日記/ 12日目》後編
〝優しさに包まれたなら きっと
目に映る すべてのことは メッセージ〟
めえせえじぃ〜〜〜と涙目で歌い上げていたら、今度はゆみこからメッセージが。まだ撮影現場だが、明日の撮影がキャンセルになったから、今夜うちに寄ってくれると。
カッ(*✧×✧*)
その時、私の中の〝ねこしき〟スイッチがパーン!と入った。
猛然とモノプリに向かい、鶏をひっつかみ、かぶをかごに放り込み、牛乳をガシと鷲掴んで、これまたモノプリカードを盗まれたゆえに、20%オフも効かぬことに憤怒しながらも会計を済ませて家に戻り、鶏をすさまじい勢いでさばき、タレにつけこみ、米をぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃーーーーーーんとといで、味噌汁をこさえ、いよいよつけこんだ鶏をジュワジュワ揚げていたら、現場上がりのゆみこが到着。
「👀‼️ エミちゃん、なにしてんですか⁉️」
「見ての通り、唐揚げ揚げてんだけど、なにか?」
ゆみこは、また私が部屋の隅っこで膝を抱えて泣いているもんだと思っていたらしい。〝ねこしき〟は伊達じゃない。なんせ著者本人の実体験に基づいた、ぐうの音も出ないときの、料理による自分の上向かせ方がぜんぶ詰まってる。
「あーもう、今夜はUber Eatsかなあって思ってきてみたら、まさかこんな豪華なごはんが用意されてるだなんて〜〜」と、ゆみこはとっても喜んだ。
私は私で、もう唐揚げくらい揚げてやんなきゃ、この憤まんやる方なしな気持ちをぶつけるすべがなかった。そして、この気持ちをじっと見つめて、どんな言葉なら今の気持ちに最適なのか?と考えたところ〝不貞腐れる(ふてくされる)〟であった。
私はおおいにふてくされた。この事態の出発点がなんであったかとか、現状がどうであるとか、そうした理性的な思考をぜんぶ横に置いて、めったくそふてくされまくった夜だった。重ね重ね、信じられない…….バッグをひとつ盗まれただけでここまで拡大する不運の連鎖。と、まあ今夜は無理だ。これ以上考えるのはよしとこう。
海の向こうでは、楽園みたいな島で彼女の到着を心待ちにしていたある絵描きが、失意の夜を過ごしていた。
それでも、哀しくてもおなかは空くし、明日はちゃんとやってくるのだ。
写真2枚目: タイトル〝茫漠のかなたへ〟〜目がテン
撮影:岡悠美子
写真3: 行くはずだったレユニオン島の滝。
撮影:彼
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2023/10/24