猫沢エミのインスタグラム(necozawaemi) - 11月3日 19時47分
慌ただしく新幹線に乗る。
光陰矢のごとし。明日は母の四十九日法要です。
対抗線路に走る電車の窓から光が溢れる。偶然目についた乗客のあの人は、今どんな気持ちで、どんなふうに生きているのだろうとそのつど思う。
伊丹十三監督の名作『タンポポ』にこんなシーンがある。貧困にあえぐ線路脇のボロアパートで、今まさに病床の母が死に至ろうとしている。かあちゃんは、最後のちからを振り絞り、家族へチャーハンを作るのだ。その横を、ロマンスカーらしきヴァカンス列車が光を放ちながら通り過ぎてゆく。乗客は談笑し、お弁当やお酒を召しながら愉しげに憩っている。
その光と影。
死が立ち込めるボロアパートから手の届きそうな場所を走る極楽列車。
人生の残酷さを言葉なく語るそのシーンを、こうして電車と並走するたびに思い出す。
はたして極楽列車の乗客たちは、本当に極楽かといえば、そこもまた人生。ひとたび紐解けば、驚くような悲哀もあってしかるべきだろう。
一見、幸せの象徴にも見えるかのような幸楽弁当を、苦々しい思いで紐解く人もいるかのように。
#東京下町時間 #猫沢映画館
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2019/11/3