西木ファビアン勇貫さんのインスタグラム写真 - (西木ファビアン勇貫Instagram)「第167回直木賞受賞作。連作ではない短編集。かけがえのない人間関係を失い傷ついた者たちが、再び誰かと心を通わせることができるのかを問いかける（公式より）タイトルに「星」が入っているように、星座や天体がどの話にも出てくる。キーとなっているわけではないが、物語を煌めかせている。ーーーーーー「真夜中のアボカド」 32歳、双子座。コロナ禍。マッチングアプリで婚活をする主人公・綾。出会ったのは麻生さんという、真面目そうにみえる男性。何度か会い、付き合うことに。ある日、秘密をうちあける。実は一卵性の双子で、妹・弓とは3年前に死別していること。まだ気持ちの整理できていないこと。すると、麻生さんもこんど秘密をおしえてくれるという。それからも順調に、凪のような日々をすごす。弓には恋人の村瀬がいて、村瀬もまた弓のことを引きづりながら生きている。綾は村瀬に麻生さんのことなど色々相談しているうちに……。部屋で育てているアボカドから芽吹いた双葉。双子の運命。双子座が絡み合う。ちょっと展開は読めたけど、短編小説のお手本のようなお話。ベタは強いよ。「銀紙色のアンタレス」 16歳、男子。獅子座の主人公・真(まこと)。夏休み、海に行くためにひとりでばあちゃんの家に帰省。『夏が来るとやっと自分の季節がやってきたという気がする。どんなに気温が上がったっていい』は全然物語の格じゃないけれど、めちゃくちゃ共感。海の近くのばあちゃんの家に来た真は、ある女性と出会う。1歳の子供を抱いたまま海を見つめる姿に惚れたのだ。その後、幼なじみの朝日もばぁちゃんの家にやって来て……。叶わない恋と、若さならではの不器用な誠実さを持ち合わせた姿がノスタルジックだった。「真珠星スピカ」 2ヶ月前、交通事故で亡くなった母。その幽霊が見える主人公・みちる。父には見えていない。母の幽霊は家から出ない。みちるは学校でいじめられていて、味方は少ない。喜怒哀楽をストレートに出すことが恥ずかしく、いじめにもノーリアクションで対抗するが、精神的にはキツイ思いをしている。解決したのは、古くから伝わるコックリさん……？めっちゃ面白かった。この短編集ではナンバーワン。「湿りの海」主人公の妻と娘はアリゾナにいる。正確には元妻。妻の浮気が原因で離婚し、すでに新しい父親と暮らしている。かなり引きづっている主人公。指にはまだ指輪のあと。ある日、隣にシングルマザーが引っ越してきて、どこか似た境遇に共感する。別日に公園で出会い、会話をするようになる。そして彼女とその娘と一緒に海に行くのだが、その帰りに……。すごい筆力。しっとりと汗をかいた両生類のような皮膚、の例えは秀逸だった。本当にこんな話どこかにあるだろうと思うくらいリアリティがあった。「星の随に」随って、まにま、って読むんや。主人公・想。両親は離婚し、父親に引き取られている。父親はその後再婚し、新しい母の渚と暮らしていたところに、弟の海が生まれる。想はまだ渚のことを心から「母さん」と呼ぶことはできない。本当の母さんには何で会えないのだろうと不思議に思いながら、母さんの住むマンションを車窓から見つめる。そんな折、育児ノイローゼになる渚。想が学校から帰っても寝ていて鍵が開いておらず、マンション共有部のソファーにただ座って待っている。助けてくれたのは、同じマンションに住む老婦人だった。彼女は「つらい思いをするのはいつも子ども」と自分の戦争体験と重ねて話す。ーーーー読後感の良い話ばかりではないけれど、面白かった。切なくもある。共感できるものばかりではないけど、どの話からも生きる力のようなものを感じた。 #本 #読書 #読書記録 #読書記録ノート #小説 #小説好きな人と繋がりたい #小説好き #小説が好き #本好きな人と繋がりたい #読書好きな人と繋がりたい #bookstagram #book #books #novel #作家 #小説家 #fabibooks #第一芸人文芸部 #夜に星を放つ #窪美澄」10月26日 10時54分