猫沢エミさんのインスタグラム写真 - (猫沢エミInstagram)「《パリ・盗難日記 / ７日目》信じられないことだけど、事件勃発から早１週間が経とうとしている。この１週間、毎日何を考え、何をしていたのかは、ほぼ自動筆記状態で書き殴ったため、読めば起こったことはわかるのだが、ふと振り返ると記憶が曖昧だ。人間、ショックなことがあると、脳は自動的に忘れようとするらしいから、きっとそんな感じなんだと思う。歯がもげて夜が更けた昨夜は〝湖底〟に手をついた。手続きはトラブル続きではあるものの、状況はひとつずつ進展している。なのに、いい知れない重い空気に取り込まれてしまって、身動きできなかった。そんな時ってある。別に今回みたいなことでなくとも。昨日、どん底の中、気力を振り絞って書き始めた締め切り原稿に再び取り掛かる前に、近所のまどかちゃんに午後、ちょっと話し相手になってもらえないかとメッセージを打った。こんな時、がんばってひとりでいなくてもいいと思ったのだ。 iPhone15が「どうも、よろしく」と俳優で言うところの高橋一生さんみたいな顔をして、まだまだ他人行儀に鎮座している。恐る恐るカメラを起動して、以前の12proから画質がどのくらい上がったのか、ユピガを交互に撮ってみたりして確かめていたら、明らかに鮮明な画像で、買ってはじめて嬉しさを覚える。うん、こういうちっちゃな喜びを思い出さねば。午後、まどかちゃんが美味しくて巨大なビスキュイを携えてやってきた。相変わらず新しいSIMカードのアクティベートをするためのサイトへの入室ができないので、ふたりしてあれこれ試していたら、レユニオンの彼からビデオ電話が来た。「元気かい？　どうしてる？」１週間ぶりに、iPhoneごしに鮮明な彼の顔を見た。ホント？ホントに１週間も経ったの？「いい知らせがあるよ。エミがキャンセルしたチケットは特殊なもの（フェスティバルのスポンサーチケット枠）だから返金はできないらしいんだけど、日付を変更すれば使えるって。つまり、レユニオンに来れるってこと！」事件より7日目。はじめて一筋の光が差し込んだ。でも、私がヴァカンスに行ってしまうと、手続きが滞る。彼は、10月末にレユニオンから帰国後、すぐにバルセロナへ壁画制作の依頼を受けて３泊４日の出張予定なのだ。かたや私は、11月の初旬には日本に向けて旅立たねばならない。まさかの展開で、一緒にヴァカンスを過ごすどころか、ほぼ２ヶ月もすれ違いになってしまう。ここまで不幸が拡大する盗難の恐ろしさたるや！と、これからの予定を考えて二の足を踏んでいる私に彼がこう言った。「あー…….バタバタしてて言ってなかった。バルセロナはもう、別の月にずらしてもらうようコーディネーターに頼んだから、帰国したらエミが日本に行くまでの１週間、手続きを一緒に進められるよ。ヴァカンスは、たったの１週間だけになっちゃったけど、思い切って来なよ。日本に行く前に、気分を変えた方が絶対いいって」そうだね。日本に行く前に、南半球までイってQ！の壮大な方位替えといこうじゃないか‼️不運、舐めんなよ。おまえが取り憑いた女は、ただじゃ起きないんだよ。とはいえ今回、毎日が予想外の展開続きのため、島行きの機内に乗り込むまで安心できない(*✧×✧*) それでも、あゝ　気が抜けた(꒪⌓꒪)…… 今日はいいことがもうひとつあった。ユピ坊が、まどかちゃんをタタ（乳母、またはおばちゃん。フランス語のおばを意味するtante -タントゥの俗称）として認めたようだ。事件以来、ちょこちょこ家に顔を出してくれるまどかちゃんに、やっと親しい匂いを感じたのかも知れない。猫は人間ばりに、他者を信用するまでに時間がかかる。彼も言ってたけど、だからこそ認められると嬉しいんだ。その承認は〝生き物としてあなたを認める〟っていう、とても純度の高いもの。見つめあうふたりを見て、いろいろあったけど、安心してレユニオンに行けそうだと嬉しかった。 #猫パリ　#猫沢エミのインターナショナル五十路ライフシフト #猫沢エミリーパリへ行く #猫沢エミのパリ盗難日記 #ユピ坊　まどかちゃんは陶芸家でご近所さんでうちの猫たちのシッターさん @moka.lby」10月19日 6時29分