猫沢エミのインスタグラム(necozawaemi) - 7月29日 14時11分


目を覚ましたらこの時間だった。(pm)

普段なら、なにがしかの宅急便が来たり、だれかが起こしに来たりして、まずこの時間まで眠ることはないのだけど。

撮影とその準備期間中、眠れてもせいぜい3〜4時間が続いたから、身体がすべてをオフにして眠ることを選んだのだ…と思った。その証拠に、ベッド脇のティロワに、だれかがした派手な吐き跡があって、ウワッと驚いた。なにひとつ気づかないほど、身体は死んだように眠ることを選んだのだ。

目を覚ますとチャネコーズが私の両脇に、ピガがリビングのカウチのうえで幸せそうに眠っていて、とても静かだった。邪魔するものがない、私が作り上げたこの小さな世界の完璧さに、すこし怯えた。この怯えを感じたのは、これまで一回や二回ではない。

幸いなことに仕事を得て自立し、この年齢までひとりで暮らしてしまうと、ものすごく快適しかない生活が手に入る。でも、それは実のところ、すこし危険な状態でもある。

邪魔されたり、意にそぐわなかったり、譲歩したりしないで済む世界。この家にいる限り、私は自分の輪郭線を明快に保つ必要がなくなる。そうした自分が外の世界へ出かけた瞬間、世界は意にそぐわないことだらけだと、改めて気がつく。

母が生きていた頃、旅行先で買い求めた、およそ私の趣味ではないお土産をあれこれくれた。そうしたものを、あえて飾っていた。すると、私が作り上げたはずの完璧な世界の調和がうまい具合に乱れて、人間らしいバランスを作ってくれたのだ。

母が亡くなり、世界がコロナに包まれた。

他者との共存、自分の境界線を明確に感じる術は、放っておいても日に日に薄れていく昨今。

完璧であることの危なさと恐ろしさを確認したところで、私は猫たちにごはんを配り、お茶を入れ、テレビのスイッチを押してワールドニュースにコンタクトし始めた。

#東京下町時間


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2020/7/29

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