猫沢エミのインスタグラム(necozawaemi) - 10月16日 13時17分
家を守ってくれた友達と、お礼を兼ねた精進落とし。
ここは思い出深い場所。今年の5月、ICUに運ばれてから一度退院したときに、母を連れてきた。
それから、しばらくして母がもう助からないと告げられたとき、どうしようもなくてひとりで泣きながら酒を呑んだのもここだった。
あのとき私たち家族は、母への告知を巡って精神的に少しおかしくなっていた。あとひと月で逝く人に、無碍に残りの命を数字で伝えるなどという、今思えば信じられない選択肢を抱えて悩んでいた。
ヒューマンな主治医との対話で、それは取りやめになった。人間は動物。誰に言われなくとも、死期は身体が教えてくれる。
生きることがもっとも大切なことだけれど、死にゆくことも同じくらい大切なこと。なぜかわからないけれど、昨日、久しぶりに家へ戻ってきたとき、降りてきた言葉。
今朝、空を見上げて思った。
私にはもうお父さん、お母さんと呼べる人がいないのか。
でもすぐに、それは違うなと思い直した。
私にはお父さん、お母さんと呼べた人がいたのだ。
母は、私の実母ではなかった。育ての母だったけれども、血の繋がりなどほぼ意味をなさないほど、大切にしてくれた。
いい話がある。上の弟が高校生だったころ、仲の良かった弟の友達がいて、彼は成績優秀で親に歯向かったことがない子だった。その子が、親の期待に押しつぶされて、一度だけ親に手をあげた。そして、その子はたった一度の蛮行に驚いた親によって精神病院へ送られて、ロボトミーのようにされてしまった。その話を聞いた母が、ひどく不憫に思って『私、あの子を引き取ろうと思うんだけど、どうかな?』と相談してきた。私は即答で、いいんじゃないの?と答えた。私もある意味、その子と変わらない立場だったし、母ならきっとうまくやれるとわかっていたから。
今振り返ると、幼い話である。両親揃っている子供を養子にもらうなど、法的に無理に決まっているのに。ただ、母が本気でその子の人生を救ってあげたいと思った気持ちは真摯なものだった。
立場でなく、世間体でなく、心から掛け値なしに他者を愛する姿勢は、母から学んだ大切な教えだ。
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2019/10/16