猫沢エミのインスタグラム(necozawaemi) - 4月28日 23時21分

昔から能ファンです。

すべての日本古典芸能のなかで、能がダントツです。そもそも私の打楽器奏者としてのキャリアのスタートは、観世榮夫先生とのお仕事…という、まだ音大生だった私の拙い身には、有りあまりすぎる幸運でした。

って話をですね、今年2月、パリで行われた公演を、テレビで観ながら彼に語ってたんですけど、日本語でもなかなか難しい能の世界観をフランス語で伝えるのに難儀´д` ; いや、二十歳そこそこでピークを迎えた能の追っかけ時も、一緒に行ってくれる友達は稀で、薪能や漁火能など、能楽堂でのチケットが買えない貧乏学生だった私は、大抵ひとりで行って思う存分トリップを楽しんでおりました。

そう。能の神髄とは、スカした芸能でも、学術的なものでもない、と言っては語弊が否めませんが、様式美と、究極までそぎ落とされたミニマルな視覚効果に相反して、それを楽しむエスプリは、現世とあの世の境目にたゆたうインモラルな脳内トリップにあると私は思います。観世先生との長い対話のなかにも、そうした示唆がありました。

観る人の心の揺らぎで、面の表情も自由自在に変わる。観客が舞台の世界を内に取り込み、完成させる。その自由度の高さに若造だった私は魅了されたのです。 『うーん…よくわからないから、今度パリでの公演があったら一緒に行きたい。』彼談。

一言で言えば、能は最高にカッコいい。

#能 #猫沢音

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