猫沢エミのインスタグラム(necozawaemi) - 11月7日 14時25分
ゼロからモノを作る自分には、時々尖ったものが必要だ。若い頃は、毎日ガラスのかけらを拾い集めるように、尖ったものばかりを摂取していた。澁澤龍彦、沼正三、ポーリーヌ・レアージュ、マルキ・ド・サド、アゴタ・クリストフ、アレハンドロ・ホドロフスキー、セルゲイ・パラジャーノフ、ティモシー・リアリー...etc.
そして、ウィリアム・バロウズ。
インスタの影響なのか、リネンや猫やお料理(も大好きだよ♡)なんかの摂取過多になると、感性がひとつも傷つかず、また血を流すこともなく、溜まった『和み』を瀉血したくなる。たぶんそれで、20年ぶりくらいに鮎川信夫さんの美しい翻訳によるバロウズが読みたくなったのだと思う。
素晴らしい装画は村上芳正さん。1980年に思潮社から新装版として出された、活版印刷のヴァージョンで。文字組のズレも誤字脱字も、あたかも物語の一部であるかのように生きていました。バロウズの高い知性と学識。それに反比例した麻薬常習者としての懲りない日常。
でもね、この本は表面的な物語を読むものじゃあないと私は思う。状況の殺伐と文体の流麗さにギャップがあればあるほど光る何かを浴びるため。どんなに悲惨な状況を描写しても、美しい印象が残るのは、バロウズ自身が奥底に持つ品性と、鮎川さんの翻訳の妙か。
そろそろ第二の瀉血期なのかもしれない。大人になって、厳選された尖りモノを拾うのは、なんて楽しいことだろう。
#猫沢図書館
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2018/11/7