『100分で名著』という番組が好きで時々観るのですが、先日は日本を代表する心理学者 河合隼雄さんが登場。(紹介されていた著書は『ユング心理学と仏教』)このなかで、河合さんの提唱した『非個人的な関係』という考え方に触れて、私は大いにハッしたのです。 『非個人的な関係』とは簡単に言ってしまえば、対象となる人と実際に接している時には、全身全霊で相手に愛情を傾けるけれども、そのあとは一切執着を持たないこと。 河合さんはメンタルを壊した人を多くカウンセリングするという立場で自分がやられてしまう状況から、この考え方によって自身を解放したのだという。その元になった仏教のある逸話が紹介された。 ある日二人の僧が川を渡ろうとしていると、娘が渡れずに困っていた。すると僧のうちのひとりが娘を抱き抱えて川を渡り、娘は大変感謝したものの、その後しばらく歩いていると、もうひとりの僧が『俺は、先ほど君が娘を抱いたことについてずっと考えているのだが、あれは僧として正しかったのだろうか?』と問いかけた。すると娘を助けた僧が『いかにも。俺は娘を抱いて川を渡り、その場へ置いてきた。ところがおまえはまだその娘を抱いているのか?』と返され、愕然とする…というものだった。ものすごくハッとして、これか!という啓示を受けた気分でした。 仕事や日々の悩みの最たるものは、人間関係だと思うのですが、私も数年前に先生業を始めたとき、フランス語の専門分野での悩みよりも、生徒たちにどう接すればいいのか?の方がより難しい課題であることに気づきました。私のキャラクターは、なににせよ惜しみなく力を出しすぎてしまうのが特徴。そして、個人として愛情を持って接すれば接するほど、疲弊していく自分をメンテナンスするスピードよりも、疲れが蓄積してゆくスピードの方が明らかに速く、これでは身体がもたないと危機感を覚えたのです。せっかく善かれと思って始めた仕事が続かないのでは意味がなくなってしまう。そして、あるところからまさに『非個人的な関係』へと発想を転換したんですね。すると私はすっと楽になって、のびのびとフランス語を教えられるようになりました。たぶん生徒たちも楽になったんではないかしら。 これはなにも先生と生徒、医者と患者の関係にのみならず、夫婦、恋人、友達、親子に至るまで非常に有効な考え方だなと私は感じました。 愛しているからこそ執着して、目の前に対象がいないときも相手のことで頭がいっぱいになってしまうと、自分も袋小路にはまって、思われている相手も苦しくなる。この重い枷を外したとき、人は深く呼吸ができるようになり、人間関係は正常化する。そう、人は心を傾けた相手に、いつの間にか勝手な同一感や、自分の考え方を無意識のうちに押し付けがち。どんなに愛そうが、相手は自分とは違う別な一個体の他人でしかない、ということを忘れてしまうのでしょうね。 河合さんはその後、この気づきをきっかけに、あの有名な『1000の風』という詩を書きました。 触れども、とどまらず。風のように颯爽と振る舞う。 私もそうありたいと思います。これがなかなか難しい日もあるんだけどね〜? 彼となんか波長が合わない…なんて日は、大抵相手の態度がどうこうではなく、自分のメンタルのコンディションが内へと向いて重くなっていたりするだけで、相手はまったくいつもと変わらない…なんてことが多いですよ。そんなときにいざこざをふっかけられたら、相手はたまったもんじゃないわな。日々是修行。?✨ #東京下町時間 #猫沢図書館

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猫沢エミのインスタグラム(necozawaemi) - 8月1日 17時30分


『100分で名著』という番組が好きで時々観るのですが、先日は日本を代表する心理学者 河合隼雄さんが登場。(紹介されていた著書は『ユング心理学と仏教』)このなかで、河合さんの提唱した『非個人的な関係』という考え方に触れて、私は大いにハッしたのです。 『非個人的な関係』とは簡単に言ってしまえば、対象となる人と実際に接している時には、全身全霊で相手に愛情を傾けるけれども、そのあとは一切執着を持たないこと。

河合さんはメンタルを壊した人を多くカウンセリングするという立場で自分がやられてしまう状況から、この考え方によって自身を解放したのだという。その元になった仏教のある逸話が紹介された。

ある日二人の僧が川を渡ろうとしていると、娘が渡れずに困っていた。すると僧のうちのひとりが娘を抱き抱えて川を渡り、娘は大変感謝したものの、その後しばらく歩いていると、もうひとりの僧が『俺は、先ほど君が娘を抱いたことについてずっと考えているのだが、あれは僧として正しかったのだろうか?』と問いかけた。すると娘を助けた僧が『いかにも。俺は娘を抱いて川を渡り、その場へ置いてきた。ところがおまえはまだその娘を抱いているのか?』と返され、愕然とする…というものだった。ものすごくハッとして、これか!という啓示を受けた気分でした。

仕事や日々の悩みの最たるものは、人間関係だと思うのですが、私も数年前に先生業を始めたとき、フランス語の専門分野での悩みよりも、生徒たちにどう接すればいいのか?の方がより難しい課題であることに気づきました。私のキャラクターは、なににせよ惜しみなく力を出しすぎてしまうのが特徴。そして、個人として愛情を持って接すれば接するほど、疲弊していく自分をメンテナンスするスピードよりも、疲れが蓄積してゆくスピードの方が明らかに速く、これでは身体がもたないと危機感を覚えたのです。せっかく善かれと思って始めた仕事が続かないのでは意味がなくなってしまう。そして、あるところからまさに『非個人的な関係』へと発想を転換したんですね。すると私はすっと楽になって、のびのびとフランス語を教えられるようになりました。たぶん生徒たちも楽になったんではないかしら。

これはなにも先生と生徒、医者と患者の関係にのみならず、夫婦、恋人、友達、親子に至るまで非常に有効な考え方だなと私は感じました。
愛しているからこそ執着して、目の前に対象がいないときも相手のことで頭がいっぱいになってしまうと、自分も袋小路にはまって、思われている相手も苦しくなる。この重い枷を外したとき、人は深く呼吸ができるようになり、人間関係は正常化する。そう、人は心を傾けた相手に、いつの間にか勝手な同一感や、自分の考え方を無意識のうちに押し付けがち。どんなに愛そうが、相手は自分とは違う別な一個体の他人でしかない、ということを忘れてしまうのでしょうね。

河合さんはその後、この気づきをきっかけに、あの有名な『1000の風』という詩を書きました。

触れども、とどまらず。風のように颯爽と振る舞う。

私もそうありたいと思います。これがなかなか難しい日もあるんだけどね〜? 彼となんか波長が合わない…なんて日は、大抵相手の態度がどうこうではなく、自分のメンタルのコンディションが内へと向いて重くなっていたりするだけで、相手はまったくいつもと変わらない…なんてことが多いですよ。そんなときにいざこざをふっかけられたら、相手はたまったもんじゃないわな。日々是修行。?✨ #東京下町時間 #猫沢図書館


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2018/8/1

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