内沼晋太郎のインスタグラム(numabooks) - 10月31日 19時33分

古書価が高騰していたカナファーニー『太陽の男たち／ハイファに戻って』（河出文庫）が緊急重版、入手可能になるとのこと。

1936年にパレスチナに生まれ、民衆の姿を描き続け、機関紙の主幹として世界に発信し続け、36歳の若さで不帰の人となった。

「エルサレムを経由して車がハイファの丘陵に着いた時、サイード・Sは何かが自分をおし黙らせるのを感じた。彼は口を閉ざした。哀しみが内部にこみ上げ、一瞬、帰ろうという想いが彼を誘った。彼は彼女の方を見なかったが、彼女が声を殺して泣きはじめたのがわかっていた。
　突然、海の音がした。それはそっくり昔のままだった。想い出は少しずつ戻ってきたのではなかった。ちょうど石の壁が崩れおちていっぺんに瓦礫の山をなしたかのように、彼の脳裡にふりそそいだのだった。さまざまな出来事がふいに思い出され、それらが互いに重なって彼の内部に充満した。
　彼は妻のソフィアも同じことを感じ、それで泣いているのだろうと思った。」（「ハイファに戻って」）

自分も読み返します。

#内沼家の本棚から #カナファーニー #太陽の男たち #ハイファに戻って

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