猫沢エミのインスタグラム(necozawaemi) - 12月13日 12時54分

いつものように、打ち合わせのない日はテキトーにすっぴんで過ごそうかとも思ったが、ふと思い立ってメイクをした。（とはいえ私のメイクなぞ、超ナチュラルなやつしかしないんだけどネ）もー、親話題ばっかりのメメント盛り過ぎだ…と自覚していますが、多分これはとても大切な思考期なんではないかと思うから、考察記録として書いておく。

人が年老いて人でなくなる前に、まず己の性を捨てるものなのだなと今回の父の逝き様を見て、ひしひしと感じた。幸いなことに父は、最後の最後まで車椅子を拒否し、亡くなる少し前に病院へ行った際にも人の目を気にして、杖をつきながら自力で歩いていたのだそう。父の自室には、生前愛用していたジャケットやシャツ、キャスケットが整然と並べられていた。彼は洒落者で、己のスタイルを捨てずにダンディーな男として逝った。そう、彼は最後まで自分の性を捨てなかったのだ。
性とは、子を作れる時期は子孫を残すという生物学的な機能として働くけれども、長くなった私たち人間の寿命のなかで、その期間は意外と短い。そして女性はさらに短い。ではその機能を終えたあと、性はどう働くのか？私の考察結果として、それは個人のアイデンティティーを守る砦として機能する、だ。

年老いて身なりに気を使わなくなる、人の目を気にしなくなる＝己の内側にも配慮がなくなる。ここから性の砦は瓦解を始める。（私の場合）女としての意識や、美学を失えば、なだれ込むように中核の『人である』が崩れてゆく。そうすればもう成すすべがなくなる。

綺麗でいたいと思う。過剰に飾り立てるのではなく、自分を正面から認めてあげ続けられるだけのケアを怠ってはいけないと思う。それは、私を大切に思ってくれる人の喜びにもなれば、私自身の喜びにもなる。私は、私を私だけのものだとは思っていない。そんな、私に申し訳ない図々しい考え方はしない。自分の中に住む、私と私を管理するもうひとりの私がいつも相談しながら、様々な指針を決めていく。自分を真に大切にすること、やけっぱちにならないこと、自分の思う美学を捨てないこと。私は父を見習って、最後まで美しく年老いてゆくと決めた。

#東京下町時間

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