小林唯のインスタグラム(yui3651) - 12月4日 23時47分

彼女によく「人を愛したことがない」と言われる。そうなのだ、僕は人を愛したことがないのだ、とその度頭の中で考える。
しかし、それを明言する事は良い結果を産まないので、曖昧に「そんなことないよ」「育ってきた環境が違うからさ」などと意味のないモニャモニャを口の中で繰り返す。

目に見えない「愛」というものについて、識者に問いたい。「愛とはいったい何なんだ？」と。
僕にはわからない。わからないから、「愛してるよ」と言うのだ。
「愛してるよ」の言葉がないと、愛のそばにさえ近寄れない気がするのだ。

全てを投げ打つ無償の愛を僕は持ち合わせてはいない、と言うことだけは今のところ明白だ。
遺伝子の器として、後世にそれを残すことを諦めた時から僕は僕の死を死ぬことしかできないと思っている。
ここで途絶えるのだ、何もかも。
愛にたどり着けるわけがない、と言う気もする。好きなものは好きだし、大事な存在は大事だ。一緒に地獄に落ちることは出来ても、僕は僕の身を捧げる事はできない気がする。

「愛してるよ」という言葉は魔法の言葉だと思っていた。
人を繋ぎ合わせる、魔法の言葉だと思っていた。その言葉をつぎはぎして生きてきた。
何度も破綻したそのつぎはぎの上で、僕は今子供を育て、彼女と暮らしている。
このつぎはぎの言葉をなんとか、嘘でも本物にしたいと思っている。

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