ムツムロアキラのインスタグラム(mutsumuro) - 11月30日 01時47分




5.パーティーを抜け出して

中3でSUM41を初めて聴いた時にかなり興奮したのを憶えており、「いつかこんなバンドをやりたい」と画策していました。サウンドは西海岸のイケイケバンドをモチーフにした分、歌詞はとことん弱っちくなるアンバランスさを狙ってます。名曲を作るのに難しいコードなんて必要ないと信じ続けているタチなので、この曲に至っては5つしかコードを使っていません。

歌詞に関しては最初メロディと一緒に「ねぇ〜」と「フェンス〜」と「テレ〜パシ〜」がなんとなく浮かび、サビでパッと開けた感じのメロディだったので「抜け出して、って曲タイトルに入れようかな」みたいな連想ゲーム方式で作っていきました。

6.アイラブユー

夏フェスに出ることが増え、外からバンドを見ていると、バスドラムの音だけはどの現場でもちゃんと風の影響を受けずに客席後方まで聴こえることに気付きました。「そりゃ四つ打ちの音楽って踊れるわけだ…もしかして速い曲ばっか作っている場合じゃないんじゃないか…?」という疑念が生まれ、ダンスビートの曲を作るに至りました。

ABメロで「英文科のテキスト」「阪急電車だ」「僕は追いかけてる銭形」等のパワーワードをたくさん散りばめたので、サビは「アイラブユーベイビー 君の色んな表情 もっと見たい 今夜」というバンドを始めたての高校生でももっと歌詞書けるだろ…ってくらいシンプルにして、逆にリズムでメリハリを付ける感じにしました。スタジアム歓声は一度どこかで使ってみたいなと思っていたので、ギターソロ部分に差しこめて良かったですね。

イントロアウトロは忙しないのに、1番最後の一音だけはAmaj7と無駄にオシャレになっているんですが、「ひとつの恋愛を終えたあと、少しだけ大人になって行く感じ」を表現しています。聴きどころですね。

7.AI LOVE YOU

2年くらい前に原型が出来た曲なのでもう作った時のことを殆ど覚えていないんですが、なんか気に入ってます。ヴォコーダー、シンセベース、アルペジエータなど、普段使わない音色をたくさん使っているので、ライブで何%再現できるのか、そもそもライブでやれるのか?と他人事みたいに今も疑問に思っています。「確実に音を外さない君のバースデイソング」という歌詞がチャーミングで良いですね。

コロナ禍でBADモードに入っている時に反動で未来予測系の本を読んだりSF系の映画をよく見た時期がありました。『マトリックス』然り『ターミネーター』然り、やはりAIが人間より賢くなった暁にはロクでもない未来になることが予見されていますが、実際はそんな絶望的な未来が待っているというよりは、ダラダラとAIと共生する気がします。

8.ヒューマンエラー

歌詞なんて所詮は歌詞なので、その時の思い付きで書いていて。しかしほとんどの人は「このアーティストはこういうことを歌うバンドなんだ」と定義したがる。こちらとしては数年前の曲を引用されて「君達はこういうバンドなんだね?」と言われるのはかなり度し難いというか。「うーん…その時はそう思ってたんで」が本音というか。みんなが後生大事に抱えて生きていこうと思っている曲も案外、作り手の一時の気の迷いで書かれてたりするかもしれません。

わかり合えるだとかわかり合えないだとか前作『ギター』でかなり根底のテーマにありましたが、本当にその時と場合によるというか。そーゆー風に割り切れなかったら多分これから超キツいなーとか、ふだん考えていることをまんま書いた曲です。かなり無責任ですが、こういう距離感の曲って日本にはあまりないと思うので書いた意味はあるのかなと。でも同時に、もう一歩リスナーの鼓膜へ土足でズカズカと踏み込んで行く曲を書く方が自分は得意なのかもな、と感じました。

9.カラオケ・サマーバケーション

かなり良いメロディを思いつき、ほとんど1日で書き上げた曲です。経験則上、こういう曲は時間をかけて作るとすぐ飽きてしまうのでスピード重視になります。『アイラブユー』や『パーティーを抜け出して』とAメロのコード進行が全く同じなのですが、歌メロを変えることでちゃんと差別化できました、エライですね。

どこにこだわっていたっけな?と当時の記憶を辿っていたら、「歌詞カードに(間奏20秒)を記述しよう」と思い付いた瞬間に最もテンションが上がっていた気がします。

こないだリリースされたYUKIの「My Vision」の歌詞は、2022年聴いた曲の中で1番素晴らしかったです。

10.東京

東京に来たはいいものの、まだ東京タワーをちゃんと見に行ったことがありません。俺にとって『東京』というのは、眠らない街並み、隙間なく並ぶ鉄塊、成功やお金、みたいなギラついたものではなくて、夕日で橙色になる近所のアパートだったり、歌詞を書く為に毎日通っているコーヒー屋だったり、好きな曲を聴きながら歩く散歩道でした。

毎日生きていくことは超苦しく。でも確かな希望もあって、みたいな日々をそのまま東京という名前でパッケージングしてみました。地味な曲かも知れませんが、この世に存在する『東京』という曲の中で最も正直な曲だと思います。今日もビタミン剤を飲んで部屋を片付けてこれを書いてます。

つづく


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2022/11/30

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