村上隆のインスタグラム(takashipom) - 12月6日 17時00分

上田勇児さん　@yuji____ueda の新作展の見処を解説します。

表面から釉薬が噴き出しているような効果の陶芸作品と、抽象的な、何処か具体美術の白髪一雄的な、フォービズム的な絵画作品らが新しいムーブを作っています。
「穴」「裂け目」への没入や吹き出しへの偏愛と共感。体感的なムーブメントの表現と色彩の調和とでも言おうか。なに言ってるかわからないかもだが、そうとしか言いようがないし、その何処が芸術で良し悪しに繋がるのか？と問われると、コレは目利きの文脈解析に頼るしかない。作家の例で言うと、先に挙げた白髪一雄と共に、ルチオ・フォンタナやアニッシュ・カプーアの彫刻絵画の文脈で理解すると分かりやすいはず。

日本の陶芸は世界でも有数のファンの層が厚く、勢いマーケットも広く、価格帯も上から下まてま豊富な選択肢がある。なので、陶芸への評価は陶芸界の歴史内の評価軸でのみ作家の力量を測る事となる。そしてこの30年は日本の陶芸界は安価なゾーンが栄え、高額帯が無くなり、勢い、芸術的な実験は一気に後退した。なので上記のような現代美術の文脈との相対化など誰一人思考できないのだ。その意味で、上田勇児の作品は唯我独尊。孤独にも道を耕し、整地している。その彼を模倣した陶芸作家が最近湧いてきていることは前の記事でも書いたのだが、近いうちに、上田勇児もどきの絵画作品も散見されるであろう。その時に、覚えておいて欲しいですね。オリジナルの孤高の志を。そして彼の才能の桁外れたスケール感の価値が本物であると言う事を。

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