吉家章人のインスタグラム(akihitoyoshiie) - 8月12日 19時37分

日航機墜落事故から35年。この事故を題材に描いた小説「沈まぬ太陽」を映画化した同名作に出演した。操縦室に、機長役に小日向文世さん、副操縦士役に増田修一朗さん、私の役は航空機関士役でした。

この事故に関して様々な資料を頂きました。しかし私にとって実感できることは、当時のニュース映像の記憶でした。散らばる機体、急斜面に立つレスキュー隊、必死にレポートをするアナウンサーの声。一人の女の子が救出されヘリコプターに吊り上げられるシーンが脳裏に焼きついていた。助かって、と心で願っていた。しかしこれは役の状況を理解するには至らない。

記憶のどこかに、テレビで観たフライトレコーダーの音声の記憶が残っていることを発見したので頭の中で検索する。が思い出せない。

ふと思いつき、車でとある山の行った。そして崖っぷちに立つ。パラグライダーやスカイダイビングを考えたが、崖っぷちでもイメージするには十分だった。様々な記憶と想像を駆使した。目を閉じて深呼吸。突然、頭の中でフライトレコーダーの音声が流れた。驚きはあったが流れに身を任せてみた。緊急事態を知らせる警告音が鳴り響く。何を言っているかはっきりしないが、機長と副操縦士のやりとりが聞こえ、こちらに確認をしてきた。私はそれに答えた。ガシャン、ガガガガガガ、機体がぶつかる音。私は恐怖を感じてイメージをやめた。事実の一割でもいい、何か実感が欲しかった。車の運転が怖くなり、一眠りして落ち着いてから帰った。

私なりに作品に出演させて頂くこと、役を演じさせて頂くことに誠心誠意向き合いたかった。このことが作品に活かされたかは分からない。観客の皆さんに伝わったかも分からないが、私の中でこの映画と役と事故が消えることはない。

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