内田絢子のインスタグラム(uccijun) - 2月4日 15時27分

『ライオンのおやつ』小川糸
人生の最後に食べたい“おやつ”は、なんですか？

この問いかけに手にとった1冊。若くして余命宣告を告げられた雫は、瀬戸内のホスピス『ライオンの家』で、日々を過ごすことにする。ここでは、毎週日曜日に入居者がおやつをリクエストできる、おやつの時間がある。雫はいったい、どんなおやつを選ぶのか。

穏やかな瀬戸内のレモン島で出会う人々。みんな、温かくて穏やかで、『今』この瞬間をちゃんと感じながら生きている。毎日の朝粥の味、風、匂い、音、人や犬の温もり。この島で過ごす人たち、それぞれの生き様も見えてくる。気づいたら、自分だったら？そんなことを考えながら、読み進めていた。

自分にとっての大切なおやつ。忘れかけていた記憶が子供の頃の嬉しさとともに鮮明に蘇ってきた。お母さんが作ってくれたブルーベリーのヨーグルトケーキだなぁ。おやつって、人生を豊かにするものだと、私も思う。

人間にとって、避けては通れない『生きる』と『死ぬ』を受け止め、日々を丁寧に生きるヒントを届けてくれる1冊。今も登場人物たちを思い出すと、心があたたかい気持ちで満たされます。

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