海江田万里さんのインスタグラム写真 - (海江田万里Instagram)「海外視察報告第５回今回の視察では、ルクセンブルクにある欧州会計検査院（ＥＣＡ）、スゥエーデン、英国の各会計検査院を訪問しました。ＥＣＡの訪問は6月にレーネ委員長が訪日した際、私を表敬訪問してくれたことに対する答礼の意味も込めての訪問でした。残念ながらレーネ委員長は不在で、替わってトニー・マーフィー検査官が私たちを迎えてくれました。ＥＣＡの歴史は古く、1992年のマーストリヒト条約で欧州連合（ＥＵ）が正式決定する前の1975年、ブリュッセル条約で設立が決定され、1977年から実際の運用が開始されました。ＥＵとＥＵ設立機関等の歳入・歳出が合法的に行われているか、予算管理が適切かどうかを検査しています。検査官はＥＵ加盟28カ国から各一名がＥＵ議会の承認を得てＥＵ委員会によって任命されます。検査官は、それぞれの国の会計検査院で勤務した経験者か、会計法などについて突出した能力を有する者とされており、マーフィー検査官はアイルランドの検査院出身です。ＥＣＡは毎年ＥＵ委員会が作成した決算について、独自に調査し、9月末から10月末までに年次レポートを作成し、議会は、そのレポートを受けて議論を行います。議会に提出するレポートには、ＥＵ予算の信頼性、合規性を証明する「保証証明」を添付することになっています。またＥＣＡはＥＵ委員会から、特定の分野の問題に対して調査を依頼されることがあり、最近の例では、各国が導入しているＶＡＴ（付加価値税）について、不正還付金の問題が多発していることなどから欧州財政の収入源として適正かどうかの問題提起を受け、ＥＣＡとしては、「ＶＡＴは欧州財政から除くべきだ」とのレポートをまとめたことを明らかにしてくれました。日本でも再び消費税の議論が盛んになっていますが、ＥＣＡが「ＶＡＴは要らない」と考えていることは、大きな驚きです。しかし、すでに財源の大半をＶＡＴに頼っている現状から考えて、ＥＵ諸国が直ちにＶＡＴを廃止に踏み切る可能性は低いと思われますが、ＥＣＡがＶＡＴに対して否定的な見解を持っていることは、今後の日本の消費税議論に一石を投じると思います。スウエーデンの会計検査院（ＳＮＡＯ）は議会に所属した機関で、検査官は議会によって指名され、現在定員は3名ですが、うち1名は欠員となっています。主な検査事項は、①財務検査・・政府機関などの財務書類の信頼性・正確性・真実性・公平性・合規性の検査、②業績検査・・政府機関の効率性の検査、となっています。業績検査については、ＳＮＡＯは議会に提出し、議会はこれを受けると政府に対して4か月以内に回答するよう要求することができます。なお、スウェーデン議会には決算委員会はなく、政府を所轄する各委員会に、業績検査の報告を提出することになっています。英国会計検査院（ＮＡＯ）の院長は任期10年で下院の上奏によって女王が任命します。明文規定はありませんが、議会に所属することとなり、下院の決算員会とは極めて密接な関係を持ちます。ＮＡＯは財務諸表の検査の他に、ＶＦＭ（Ｖａｌｕｅ　Ｆｏｒ　Ｍｏｎｅｙ）検査を行い、報告書を出します。ＶＦＭ検査は、政府の政策を経済性・効率性・有効性の3つの観点から評価・分析するもので、毎年60～70程度の政策や施策について行われ、議会の決算委員会はＶＦＭ報告書が刊行されてから１か月程度でテーマごとの審査を終えて、報告書を作成します。政府はＮＡＯのＶＦＭ報告を直接受け入れるのではなく、議会の審査を加味した報告書を受けとる形になり、政府が委員会の報告に沿って指摘されたテーマを改善する割合は、毎年90％程度となっています。大切なのは、議会の委員会が、税金の無駄遣いについては、党利党略を離れて、具体的に真剣に議論し、全員の合意を得て短期間で報告書をまとめ上げることです。残念ながら、現在の日本の決算行政監視委員会は、いつ会議を開くかということから党利党略が先行し、大事な議論が長く店晒しの状況です。これは一日も早く改めなければならないと思いました。また、ＮＡＯでは2012年のオリンピックについても、事前の2008年、開催年の2012年、そしてオリンピックが終わって2014年のレポートでも取り上げ、競技施設などがその後どう使われているか厳しくチェックしているとのことです。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでも、ぜひこの手法で、事後の検証をしっかり行うべきでしょう。 #立憲民主党　#衆議院議員　#海江田万里　#海外視察報告」9月9日 17時52分