The Fashion Postのインスタグラム(tfpjp) - 7月1日 17時43分
#portraits nakako hayashi
『編集者・林央子 「ファッションを考えてみたかったら、ファッションという世界の外に立つこと」』
― 今回『拡張するファッション』(2011) を再読しました。まったく色褪せないばかりか、今こそ読みたいと思う内容で、問題提起も今の状況と直結しているのに、ある意味びっくりしました。それくらいファッション業界は変わっていない、ということかもしれません。
批評というものを考えてみたときに、「外に立つ」視点が有効であることは、疑いようのない真実なのではないかと思っています。ファッションを考えてみたかったら、ファッションという世界の外に立つこと。写真について考えてみたかったら、写真という分野の外に立ってみること。その分野の既成事実をなぞるような展示、皆が知っているような作品を並べるようなことには興味はありませんでした。
― 林さんが発信するメディアは、繋がりのある人たちと一緒に作っていこうとする姿勢が強く感じられます。上下ではなく、横で繋がって、そのネットワークで円を広げていくようなイメージがあります。
『拡張するファッション ドキュメント』という私が編集した展覧会の公式カタログでは、参加作家の全員に、その人の定義するファッションというものについて、執筆いただいたり、あるいはインタビューをして原稿にまとめました。そのとき BLESS という作家のコメントが非常に印象的でした。
「ファッションという言葉は、大量消費や経済効果と結び付けられて語られることが多いので、私たちはこの言葉を使うことにためらいがあります」という発言です。「できることなら、別の言葉を発明したいくらいだ」と彼らは言います。97年にデビューした BLESS はファッション産業の中でしっかりと居場所をキープしながら、「外側の視点」を保ち続けている稀有な作家です。私自身も、ファッションの世界、写真の世界、どちらにも所属したという意識はありません。だから逆に、展覧会をつくることができたのかもしれない、と思ったりもします。
ファッションの世界も、他分野と同様、成長し変化していくために健全な批評が必要です。ファッションはそのフィールドの多くを、経済活動が占めるため、経済の側面に目をつぶると、机上の空論になってしまいます。パリコレクションとかブランドビジネスということも無視できない一方で、BLESS が指摘したように、それだけがファッションという世界ではない。その多義性に魅力を感じています。BLESS はまた自分たちの活動に共鳴してくれた人と小規模でもネットワークをつくりながら、その絆を確かなものにしていきつつブランドとして成長する、という歴史を刻んできました。BLESS の示したモデルは、『here and there』の実践ともある程度パラレルかもしれませんし、これからの先行き不透明な時代のものづくりの方法として有効なのではないかと思います。
photography: yurie nagashima
interview & text: miwa goroku
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2020/7/1