奇妙礼太郎のインスタグラム(reitaro_strange) - 5月17日 00時09分

vincent

星あかりの夜
パレットに青とグレーの絵の具を広げながら、
私の心の暗闇を知っているその目で、 あなたは夏の日を見ている。
影の差す丘
木々や水仙をスケッチし、
そよ風や凍える寒さを肌に受け、
雪降り積もる麻布の上の色に閉じ込める。

私には聞こえる、
あなたの語りかける声。
自分自身にどれだけ傷ついてきたか、
皆を解き放とうとしてきたか。
皆は聞く耳をもたず、耳の傾け方すら知らなかった。
今なら届くかもしれない。

星あかりの夜
輝いて燃える花々、
紫の霞に渦巻く雲。
ヴィンセントのチャイナブルーの瞳には　移ろいゆく色が映る。
琥珀に実った麦畑に朝日が昇り、
痛みに縁どられた農夫の顔を、
筆を持つ画家の愛情深い手が包む。

私には聞こえる、
あなたの語りかける声。
自分自身にどれだけ傷ついてきたか、
皆を解き放とうとしてきたか。
皆は聞く耳をもたず、耳の傾け方すら知らなかった。
今なら届くかもしれない。

皆はあなたを愛さなかった。
それでもあなたの愛は真実だった。
そして最後の希望が潰えたとき、
ああ、あの星あかりの夜
あなたは恋人たちがするように自分の命を絶った。
でも、ヴィンセント、私は思う。
あなたほど美しい世界を見ていた人はいないと。

星あかりの夜
がらんとしたホールには肖像画がかかる。
なんでもない壁をかざる、たよりない顔、顔。
その目は世界を見つめている。
見たことのある、ぼろぼろの身なりの誰かのよう。
血の色のバラ、銀色のトゲ。
嘘はまっさらな雪の上でぐしゃりと壊れた。

私には聞こえています、
あなたの語りかける声が。
自分自身にどれだけ傷ついてきたか、
皆を解き放とうとしてきたか。
皆は聞く耳をもたず、耳の傾け方すら知らなかった。
ずっと届くことはないのかもしれない。

王若琳さんの歌うvincent。翻訳してメールで送ってくださった方がいました。ありがとうございます。
あらためてより好きになりました。

#vincentvangogh

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