小林拓一郎のインスタグラム(kobataku33) - 2月26日 19時44分
名古屋市博物館で開催されている『挑む浮世絵 国芳から芳年へ』行って来ました。 「猫の絵」で有名な歌川国芳。
今回の展示は、その猫の絵は無く、彼の武者絵や戯画(コメディータッチな絵)がメイン。
これがまた面白いんですよ、幕府が当時歌舞伎や遊郭を描くことを厳しく禁止していた時代に、「これ、人じゃないですから」って顔は役者で体は亀にしてたり、体は遊女で顔はスズメになってたり。
ダメと言われて、「はい、そうですか」じゃ無く、「じゃあ、こうしてやろう」ってパンク精神がそこにあってね。
月岡芳年は、武者絵やスプラッター系のものがメインで展示されていました。
この絵師は、あまりにも”リアル”を追い求め、スプラッター系のものばかり描いていたら、気を病んでしまったほどなんですが、だからこそ絵から滲み出る執念みたいなものが凄まじい。
西洋画も積極的に勉強してた方で、中には、明らかにキリスト教の宗教画のような浮世絵もあったりするんです。
浮世絵って落語みたいに「題材」があって、そこをどう描くかってのが絵師の個性になってくるんですが、芳年は、いわゆる「題材」のクライマックスシーンがあるとしたら、その直前の場面を切り取ったりしてて、現代の僕らが見ると、映画的、漫画的でこれまた面白いんです。
あと、浮世絵って、忘れがちだけど、版画ってとこね。
真っ正面から見るとわからないけど、下から見上げるようにして見ると雨が降ってる絵になったりね。
着物とかも、真っ黒だと思ってたものも角度変えると柄が浮かび上がったり。
一枚の絵としてポスター的に見るのもいいけれど、「この細かい線、木を彫って表現してんの!?」って見方すると、より一つ一つの絵が立体的に鑑賞できて深みが増します。
でですね、本題はここから。
今回の浮世絵展なんですが、実は、これ、個人所蔵だったもので、名古屋市博物館に寄贈されたもので構成されてるんです!
大正・昭和の時代、当時は浮世絵自体の価値も今ほど高く無く、特に武者絵や戯画は美人画と比べると全くと言っていいほど価値を見出されてなかったんですって。
そんな中、「いやいや、好きなものは好きだから」って集め続けた二人の人物がいたんです。
まずは、尾崎久弥(きゅうや)という名古屋出身の国語教師だった方。
文学と浮世絵をこよなく愛して、家が傾くほど本買ったり、お目当の絵があったと聞くと、あまりに気が焦って電車で行かず3キロ先まで走って行ったなんてエピソードがある熱狂的なコレクター! 「国芳はもっと評価されて良い天才だ」と、ずっと言い続けていたそうです。
もう一人が、高木繁という医学者で、泌尿器科を作った人物でもあるそうです。
皆んながこぞって「美人画」を集めていた時代に、「いやいや、武者絵の方が大胆だし、豪快だし、構図も自由だし、むしろこっちっしょ!」と、他人評価軸関係なく、自分軸をしっかり持って集めていたそうです。 「好き」をとことん貫いて、その「好き」に対して時代が追いつく。
日曜日、人でいっぱいでしたからね。
きっと、「ね、言ったでしょ?」ってニヤってされてるでしょうね。
そして、そんな「好き」を貫いた方々へのリスペクトと愛が詰まった素敵な浮世絵展でした。
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2019/2/26