上田勇児さんの個展に際して 上田勇児さん、。デヴューして10年。 彼のキャリアの中で、最も抽象的な作品の制作、かつ最大の作品を完成させて、満を持しての展覧会である。出来上がってきた作品群は、僕の主観においてたが、彼の人間の塊が吹き出しており大変、素晴らしい物になっていると思う。 しかし、この状態になってくるまでの行程を考えると、よくぞここまで絞ってきたな、と思う。誰も体験していない世界への1人旅。孤独と不安、裏腹な確信と自信。そういう心の襞が全て作品に出ている。素晴らしい作品群!感動しました。 アーティストにおいて一番大事なのは、コンセプトを上手に語る、では無く、作品にそのすべての答えが出すことが出来るかどうかだ。もちろん、作家のその時の気分やテーマというのもあるであろうが、脳内の御託は作品に反映されてこそである。陶芸作家の場合、土の選び方、温度、釉薬、自然環境と の関係性、それはすべてその作家の知恵と情報の集積であって、それが全部合体することによって真の芸術作品になっていくのだ。 上田勇児本人に今回の展覧会のテーマを聞と、なんとも拍子抜けする幼稚な言葉が返ってくる。『かっこいい作品を作りたい』、、、と、まぁ、40歳を超えてこれかよ、的な言葉だが、言葉の幼稚性を凌駕し、今回の作品群は本当に神々しい芸術的な輝きを宿している。10年後、50年 後の遠い未来に、今回の作品群を見ても、今見えている鮮度がキープされているであろう。それは、作家の人生、野心、哀史み、困窮、全てが、塊に なって表出されている、ということだから。僕はこういう芸術作品に出会いたくて、出会うための場を作るためにギャラリー事業をやっているのだが、その立場冥利に尽きる体験を今回はできた。 ここまで作品への芸術性を引き上げた上田君、そして奥様のユイさんに「おめでとう」と言いたい。また、上田君を僕に紹介してくれた、大谷工作室さんにも大感謝だ。ありがとう。カイカイキキの當麻も、遠藤、石森、他、担当したスタッフも扱いづらく、ものすごい重量の作品取扱は大変であったろうと思われる。というか、作家 本人が扱いに困ったか。。。ははは。、、、と、アカデミー賞を獲ったような祝辞を言いたくなるほど、今回のプロジェクトは成功であり、かつ大変な長期の事業であった。 今後もこういうトリッキーな制作体制を続けてつくか否か、作家の気力、我々の興味の持続、経営的な判断、などが合わさって決定してゆくと思うが、 仮に売れなくても、この後数年は、続ける意味はあると思っている。 さて、今回の展覧会の在り方が、日本の現在の陶芸業界の在り方とは随分違った道のりであることを説明せねばなるまい。 通常日本の陶芸家は、年に2回から15~20回ほどの個展を日本全国のギャラリーで行って行き、様々な土地で何回も展覧会を行うことにより販売効 率を上げ、売上を立ててゆく。 その際、ギャラリーと作家との取り分は作家6:ギャラリー4で、委託となっていて、売れた作品分だけの後払い。ギャラリーによっては手形を発行し たりして、支払いの遅配で、陶芸作家にストレスを掛るケースも有る。 上田さんは、展覧会の数も少なく、かつ上記のようなストレスの経験は絶無というが、とにかく、年に数回の展覧会で稼いで食ってゆく行為を一切止め、今回の展覧会一回のために全てをこの1年半程、集中して来た。 つまりこの個展成立のために、我々は展覧会制作資金のサポートをしてきた。 サポートの流れは、上田さんが作品のプランニングを我々に伝え、いくら必要かという数字を提案してもらい、その提案に疑問があれば質問をし、修正してもらい、できるだけ少ない金額をはじきだして、彼に送金する。 送金して、作品ができあがって、彼からの作品の代金を提案されて、その代金の金額引く、先行に資金提供した額面を引いて、残金を支払うという流れ。つまり、作品の先行買取で進んできた。 プロジェクト発動当初、上田さんと奥様の由衣さんの、製作と生活、そして2人のメンタルのバランスは、とても悪く、ビックリするほど前後を何も考 えておらず、特に金へのリアリティが崩壊していた。何度も会議電話を行い、上田勇児さんを紹介してくれた大谷工作室さんにも会議電話に参加してもらったり、僕からずいぶん説教もした。 今回、作風も大幅に変わっている。 この展覧会の為の制作に入る前は、上田さんの十八番であった、作品の表皮が剥がれているような、壊れやすい表現が主流であった。 日本の陶芸の鑑賞習慣の中に、壊れてしまったら、漆と金泥を混ぜて、接着し直す「金継ぎ」という技術があり綻びを愛でる美意識がある。 つまり、壊れやすい表現は日本人においては「儚さ」「もののあわれ」を表現するものとして好意的に受け入れる土壌があり、その部分が上田さんの表 現に共鳴して人気であった。 しかし、日本国外では壊れてしまったら、取り替える、もしくは破棄する、という物を愛玩する気持ちに違ったリアクションがあり、故に上田の作品は 日本人以外のお客様には壊れると返却を希望する者が多発した。 このことを作家と話し合った。 、、、続く。 @yuji____ueda @kaikaikikigallery

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村上隆のインスタグラム(takashipom) - 11月22日 18時01分


上田勇児さんの個展に際して
上田勇児さん、。デヴューして10年。
彼のキャリアの中で、最も抽象的な作品の制作、かつ最大の作品を完成させて、満を持しての展覧会である。出来上がってきた作品群は、僕の主観においてたが、彼の人間の塊が吹き出しており大変、素晴らしい物になっていると思う。
しかし、この状態になってくるまでの行程を考えると、よくぞここまで絞ってきたな、と思う。誰も体験していない世界への1人旅。孤独と不安、裏腹な確信と自信。そういう心の襞が全て作品に出ている。素晴らしい作品群!感動しました。
アーティストにおいて一番大事なのは、コンセプトを上手に語る、では無く、作品にそのすべての答えが出すことが出来るかどうかだ。もちろん、作家のその時の気分やテーマというのもあるであろうが、脳内の御託は作品に反映されてこそである。陶芸作家の場合、土の選び方、温度、釉薬、自然環境と の関係性、それはすべてその作家の知恵と情報の集積であって、それが全部合体することによって真の芸術作品になっていくのだ。
上田勇児本人に今回の展覧会のテーマを聞と、なんとも拍子抜けする幼稚な言葉が返ってくる。『かっこいい作品を作りたい』、、、と、まぁ、40歳を超えてこれかよ、的な言葉だが、言葉の幼稚性を凌駕し、今回の作品群は本当に神々しい芸術的な輝きを宿している。10年後、50年 後の遠い未来に、今回の作品群を見ても、今見えている鮮度がキープされているであろう。それは、作家の人生、野心、哀史み、困窮、全てが、塊に なって表出されている、ということだから。僕はこういう芸術作品に出会いたくて、出会うための場を作るためにギャラリー事業をやっているのだが、その立場冥利に尽きる体験を今回はできた。
ここまで作品への芸術性を引き上げた上田君、そして奥様のユイさんに「おめでとう」と言いたい。また、上田君を僕に紹介してくれた、大谷工作室さんにも大感謝だ。ありがとう。カイカイキキの當麻も、遠藤、石森、他、担当したスタッフも扱いづらく、ものすごい重量の作品取扱は大変であったろうと思われる。というか、作家 本人が扱いに困ったか。。。ははは。、、、と、アカデミー賞を獲ったような祝辞を言いたくなるほど、今回のプロジェクトは成功であり、かつ大変な長期の事業であった。
今後もこういうトリッキーな制作体制を続けてつくか否か、作家の気力、我々の興味の持続、経営的な判断、などが合わさって決定してゆくと思うが、 仮に売れなくても、この後数年は、続ける意味はあると思っている。
さて、今回の展覧会の在り方が、日本の現在の陶芸業界の在り方とは随分違った道のりであることを説明せねばなるまい。
通常日本の陶芸家は、年に2回から15~20回ほどの個展を日本全国のギャラリーで行って行き、様々な土地で何回も展覧会を行うことにより販売効 率を上げ、売上を立ててゆく。
その際、ギャラリーと作家との取り分は作家6:ギャラリー4で、委託となっていて、売れた作品分だけの後払い。ギャラリーによっては手形を発行し たりして、支払いの遅配で、陶芸作家にストレスを掛るケースも有る。
上田さんは、展覧会の数も少なく、かつ上記のようなストレスの経験は絶無というが、とにかく、年に数回の展覧会で稼いで食ってゆく行為を一切止め、今回の展覧会一回のために全てをこの1年半程、集中して来た。
つまりこの個展成立のために、我々は展覧会制作資金のサポートをしてきた。
サポートの流れは、上田さんが作品のプランニングを我々に伝え、いくら必要かという数字を提案してもらい、その提案に疑問があれば質問をし、修正してもらい、できるだけ少ない金額をはじきだして、彼に送金する。
送金して、作品ができあがって、彼からの作品の代金を提案されて、その代金の金額引く、先行に資金提供した額面を引いて、残金を支払うという流れ。つまり、作品の先行買取で進んできた。
プロジェクト発動当初、上田さんと奥様の由衣さんの、製作と生活、そして2人のメンタルのバランスは、とても悪く、ビックリするほど前後を何も考 えておらず、特に金へのリアリティが崩壊していた。何度も会議電話を行い、上田勇児さんを紹介してくれた大谷工作室さんにも会議電話に参加してもらったり、僕からずいぶん説教もした。
今回、作風も大幅に変わっている。
この展覧会の為の制作に入る前は、上田さんの十八番であった、作品の表皮が剥がれているような、壊れやすい表現が主流であった。
日本の陶芸の鑑賞習慣の中に、壊れてしまったら、漆と金泥を混ぜて、接着し直す「金継ぎ」という技術があり綻びを愛でる美意識がある。
つまり、壊れやすい表現は日本人においては「儚さ」「もののあわれ」を表現するものとして好意的に受け入れる土壌があり、その部分が上田さんの表 現に共鳴して人気であった。
しかし、日本国外では壊れてしまったら、取り替える、もしくは破棄する、という物を愛玩する気持ちに違ったリアクションがあり、故に上田の作品は 日本人以外のお客様には壊れると返却を希望する者が多発した。
このことを作家と話し合った。
、、、続く。
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2018/11/22

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