西森洋一のインスタグラム(nishimori_monster) - 12月15日 01時29分
僕が二十歳の時に親父は倒れた。
勤めていた実家では無い、西淀川の工場の電話が鳴った。 母親からだった。「お父さんが倒れたから、すぐ帰ってきて」とのことだった。
当時、乗っていたアメリカンバイクを飛ばして、病院へ駆けつけた。
親父は普通にベットに座り、喋っていた。でも、元気は無い。その後、原因不明で二三日、病棟をたらい回しにされた。
そして検査結果がでた。
精神的に参っているとの事だった。要するに頭がおかしくなったのだ。
でも、僕ら身内からすれば、親父の言動はいつもと同じ。
何やら、脳みそが芸術家タイプらしく、同じ事の繰り返しなどは、してはいけないらしい。
親父は、自分の工場で、小さな部品の大量生産をしている。俗に言う「やってもうてる」というやつだ。
たらい回し中、胃カメラも飲んでいたので、後日その結果を聞きに行くのに、付き添った。
親父が乗る車椅子を押して、診察室へ。
「本当は、歩ける」、と母は言っていた。しかし、本人が「歩けない」と言い張るらしい。
ウンコが漏れそうなときは、小走りで行くらしい。
僕は仕方なく、車椅子を押した。
診察室に入り、先生から報告を受ける。
「ほんの少し胃が赤くなっている所があります、でも、特に問題はないです、全く胃潰瘍とかでも無いです」
僕は胸を撫で下ろした。 しかし、その先生の発言に、少し食い気味で親父が話しだす。
「先生、僕ね、胃がんなんですわ」
先生の見解を覆し、胃がんだと断言。
末期がんで、家族にだけ本当の事を告げているパターンではない。 僕らは何も聞いていないし、本当に少し赤くなっているだけ。
「先生、僕ね、胃がんなんですわ」
「はい?」
「僕、胃がんです」
「いや、違いますよ、ほんの少し胃が赤くなっているだけです」
「いや、胃がんです」
「いや、大丈夫ですから」
「いや、胃がんです、ほんでね、時々、心臓も止まりそうになってます、なんか急にグッと胸がなって、止まりそうになってます」
「西森さん、、他も全部、調べましたが、心臓も大丈夫です」
「いや、先生ホンマに、胃がんですし、心臓も止まりそうです」
これが五分程、続いた。
僕は、後ろで車椅子のグリップ握りながら、泣きそうになった。
親父は、ちゃんと、おかしかった。
今思えば、笑けて仕方ない。言われてみれば、いつもこんな感じだ。
でも、なぜまた、胃がん限定なのか?
「先生僕は、癌なんでしょ? 本当の事を言ってください」
なら、まだ、ドラマチックで、雰囲気も保たれる、しかし、、
「僕ね胃がんなんですわ」、、って、、、なんの根拠も無い。
他の箇所の検査を受けてる時は、どう思っていたのか?
「胃がんやのになぁ、、もう、わかってんのになぁ」
と、思っていたかもしれない。
五分続いたこの攻防の最後の方は、先生も
「いやだから、大丈夫って言うてるでしょうが!」と、完全にキレていた。
僕は、限り無く小さな声で
「いや、もう、、」、、としか言えなかった。
言うまでも無いが全て事実。
仕事で、話を聞かない人に会うと、親父そっくりだ、と思う。
そういう人と、会うたびに
「僕ね、胃がんなんですわ」を、思い出す。
お休みなさい。
#コメント待ってます
#日記ライブ抜粋
#日記ライブ毎月開催
#モンスターエンジン
#モンスターエンジン西森
#ZAZA
#ポケッツ
#一ヶ月分を朗読
#プレゼントとあるよ
#お客さんの半分が男性
#なので男性一人でも是非
#もちろん女性も来てね
白黒の写真が日記です。
#後ろが親父
親父は、今は元気です
[BIHAKUEN]UVシールド(UVShield)
更年期に悩んだら
>> 飲む日焼け止め!「UVシールド」を購入する
801
99
2016/12/15