【ちょうど1年前のFB】 きっと、私は強かった。 * ハノイ1日目ー その熱気は、暑さなどこれっぽっちも期待していなかった者にとって、むせ返るにはじゅうぶんだった。 * 一歩ハノイの地に足を踏み入れ、この地独特の香りに身を委ねる。 脳の片隅に丁度良い場所を見つけ冬眠していたアジアの記憶は、一瞬にして春を迎えた。 そしてそれは、安全だと思われるタクシーを探して、それに身体とスーツケースをねじ込むまで気付かれないまま私を支配した。 * 目的地の地名なんて、発音出来ない。紙とペンは必需品。 値段交渉もこれなら簡単に済ますことが出来る。 * 親友との再会までは車で40分程かかった。 2人の凄まじい金切り声は、家の建つ通りを一周…いや、二周ほどした後に、やっと普通の声に戻ってきた。 歓喜の表現方法は8年経った今でも一緒のようだ。 * 親友の結婚式を見届ける、それがこの旅のミッション。 荷物を置き、彼女が私のために用意したマンションの部屋で一通り話しを済ませ、残りは車の中で話すことにした。 明日にひかえたセレモニーの為のドレスやアオザイを取りに行くのだ。 * 夕方4時のハノイ。 太陽の色が茶色く光り、空気が濁って目に見える。 おびただしい数のバイクに、人に、車。 この国の代名詞ともいえるだろう。 * 8年前の記憶を辿ろうと、後部座席から窓の外を眺め続ける。30分後に車酔いに悩まされたのは、そのせいだ。 * ドレスやアオザイは、それぞれ別の通りにあった。 水やチーズを買う為にも、あちこちへ移動が必要だった。 その度車から降りて、不安定な石畳の道を歩く。 * 親友の腕を掴みながら道を行く私の姿は、滑稽だっただろう。 道を渡る方法すら思い出せなかったのだ。 再び脳の片隅に戻っていった眠気まなこのアジアの記憶は、甘えん坊だ。 * ここで、ふと思った。 私は弱くなったのではないか?と。 * ベトナムで暮らしていた時、私はきっと、今よりもっと強かった… バイクの波の中を渡るのも、店までの道を歩くのも、当たり前だった。 平然とこの土地に馴染むことで強さを感じさせ、隙を見せずに歩くことで、異国の危険から自分の身を守ってきた。それが出来ていたのだ。 今の姿からは想像もつかない。情けない。 * 気付いたショックを背負った体は重く、いつの間にか車のシートに深く埋もれていて、 再び目を開けると窓越しに電気がついたマンションの門があった。 * 寝てたのか、でもまだ眠いや… * もうすぐ夕飯だというのに、足はそのままベッドへと向かう。 * 化粧落とさなきゃ。 着替えなきゃ。 手を洗わなきゃ… * 色々な思考の中、親友の声が響く。 * もう夕飯なんだけど、一緒に食べる? …少し残しておくからね。 * 気まぐれに寝返りをうった感覚はまだはっきりとしないままだったが、部屋の異変に気づくことはできた。 開かれたままだったはずのカーテンは閉じられ、つけていなかったはずのリビングの電気が付いている。 * 体の上に丁寧にのっけられた毛布の存在に安心を覚えた私の身体は、また深い眠りについた。 * … 夜中の2時。 目が覚めた。 お腹が鳴る。 当たり前だ。 機中での白ワインが最後の食事だったのだから。

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二宮愛のインスタグラム(aininomiya) - 1月29日 17時02分


【ちょうど1年前のFB】
きっと、私は強かった。
*
ハノイ1日目ー
その熱気は、暑さなどこれっぽっちも期待していなかった者にとって、むせ返るにはじゅうぶんだった。
*
一歩ハノイの地に足を踏み入れ、この地独特の香りに身を委ねる。
脳の片隅に丁度良い場所を見つけ冬眠していたアジアの記憶は、一瞬にして春を迎えた。
そしてそれは、安全だと思われるタクシーを探して、それに身体とスーツケースをねじ込むまで気付かれないまま私を支配した。
*
目的地の地名なんて、発音出来ない。紙とペンは必需品。
値段交渉もこれなら簡単に済ますことが出来る。
*
親友との再会までは車で40分程かかった。
2人の凄まじい金切り声は、家の建つ通りを一周…いや、二周ほどした後に、やっと普通の声に戻ってきた。
歓喜の表現方法は8年経った今でも一緒のようだ。
*
親友の結婚式を見届ける、それがこの旅のミッション。
荷物を置き、彼女が私のために用意したマンションの部屋で一通り話しを済ませ、残りは車の中で話すことにした。
明日にひかえたセレモニーの為のドレスやアオザイを取りに行くのだ。
*
夕方4時のハノイ。
太陽の色が茶色く光り、空気が濁って目に見える。
おびただしい数のバイクに、人に、車。
この国の代名詞ともいえるだろう。
*
8年前の記憶を辿ろうと、後部座席から窓の外を眺め続ける。30分後に車酔いに悩まされたのは、そのせいだ。
*
ドレスやアオザイは、それぞれ別の通りにあった。
水やチーズを買う為にも、あちこちへ移動が必要だった。
その度車から降りて、不安定な石畳の道を歩く。
*
親友の腕を掴みながら道を行く私の姿は、滑稽だっただろう。
道を渡る方法すら思い出せなかったのだ。
再び脳の片隅に戻っていった眠気まなこのアジアの記憶は、甘えん坊だ。
*
ここで、ふと思った。
私は弱くなったのではないか?と。
*
ベトナムで暮らしていた時、私はきっと、今よりもっと強かった…
バイクの波の中を渡るのも、店までの道を歩くのも、当たり前だった。
平然とこの土地に馴染むことで強さを感じさせ、隙を見せずに歩くことで、異国の危険から自分の身を守ってきた。それが出来ていたのだ。
今の姿からは想像もつかない。情けない。
*
気付いたショックを背負った体は重く、いつの間にか車のシートに深く埋もれていて、
再び目を開けると窓越しに電気がついたマンションの門があった。
*
寝てたのか、でもまだ眠いや…
*
もうすぐ夕飯だというのに、足はそのままベッドへと向かう。
*
化粧落とさなきゃ。
着替えなきゃ。
手を洗わなきゃ…
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色々な思考の中、親友の声が響く。
*
もう夕飯なんだけど、一緒に食べる?
…少し残しておくからね。
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気まぐれに寝返りをうった感覚はまだはっきりとしないままだったが、部屋の異変に気づくことはできた。
開かれたままだったはずのカーテンは閉じられ、つけていなかったはずのリビングの電気が付いている。
*
体の上に丁寧にのっけられた毛布の存在に安心を覚えた私の身体は、また深い眠りについた。
*

夜中の2時。
目が覚めた。
お腹が鳴る。
当たり前だ。
機中での白ワインが最後の食事だったのだから。


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2016/1/29

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