黒沢あすかのインスタグラム(kurosawa_asuka_official) - 8月11日 10時13分

【軍港の子 ～ よこすかクリーニング1946 ～】ご覧くださいましてありがとうございました。

本読みの日。
子役さん達が堂々とセリフを話す姿に、耳にタコができるくらい聞かされてきた父の話が甦ってきました。

戦争で土地と家を奪われ、人の家の納屋暮らし。お風呂も1週間に一度、納屋を貸してくださる大家さんのご厚意で入れたと。大家さんは毎日でもと言ってくださったというのに親からは、その言葉を間に受けてはならないと諭され、汗をかく夏の時期は川で泳ぎそれがお風呂がわり。知恵を絞っていたのだ。

食事は一日一食、夜だけ。
白米ちょっぴりと粟とヒエの量が多いご飯。冷めるとパラパラしてお箸では挟めなくなるので一気にかき込む。
おかずは農家の方が売り物にならない野菜を川に投げ捨てたものを拾い、ノビルや土手に生えている雑草を摘み、どうしてもお腹が空いたら水をがぶ飲みして腹を膨らませてしのぐ。
それでも自分達は貧乏だと思わなかったと。

父は遊びに出る前に米研ぎと食材探しを済ませ、どうやったらお母さんを楽させてあげられるか、そのことばかり考えていたと言います。

子役さん一人一人に父を重ね、こんな時代を生き抜いてきたのかと、胸がいっぱいになってしまいました。

しかしそのことが、川合牧子さんをひどい人（悪者）に仕立て上げてはならない、今日一くん（小林優仁くん）とは、真剣に向き合わなければと思わせてくれたのでした。

牧子さんのような存在も決して珍しいことではなかったはず。あの時の日本は皆、生きるのに大変だった。
演じる根底に私だけはそんな解釈を加えたかった。

幼少期から聞かされ続けた父の話によって、牧子役へのアプローチに鎮魂の意味を込めたつもりです。

撮影終了後、「いい塩梅で演じてくださりありがとうございました」と言っていただけた。

＂いい塩梅＂
父のおかげだ。
ちなみに父は今も元気です。

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※写真は夫婦役を演らせていただいた岡部たかしさんと

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