江口寿史のインスタグラム(egutihisasi) - 7月30日 14時55分
遠藤賢司さんに初めてお会いしたのは1986年の確か、秋。
どういうツテでお会いできたのかが、今となってはもう不鮮明なのだけど、吉祥寺の「のろ」というライブハウスで、酒の席を共にさせていただくという僥倖にあずかったのだった。
「江口さん何歳?」と聞かれて「30歳です」と答えると、
エンケンさん「じゃあ、俺も39だから同じ30代だね!」と言って、いたずらっぽく笑われた。その笑顔がなんだかかわいくて。
その後89年と2000年代に入ってからも何度かお会いする機会に恵まれたが、お会いするたびに感じるエンケンさんへの印象は、目上の人に向かっていう言葉じゃないかもしれないが、「チャーミングな人だなあ」ということ。たまに毒も吐かれますが(笑)。
それすらもエンケンさんだと全くいやらしさがない。ほんとにあんまりいないタイプの大人の人だと思う。僕が女だったら間違いなく惚れてますね(笑)。僕の今までお会いした目上の男の人で同じ印象を持ったのは、あと一人、赤塚不二夫さんくらいだ。お二人、タイプは違うかもしれないが、質はもしかしたら似てるかも、とヒソカに思っている。
エンケンさんの音楽は、文学でいうところの純文学。まさに純音楽なんだなと思う。エンケンさんがジャンルを選ぶのではなく、あらゆるジャンルがエンケンさんを選ぶのだ。
だから時にフォークであり、ロックであり、パンクでありまた、ニューウェーブでありテクノであり、クラシックであり、オペラであり、はたまた民謡であっても、エンケンさんの音楽でなかった事は、一度たりとてないのだ。
だってエンケンさんが、音楽そのものなのだから。
2009年11月 江口寿史
(2009年に出たBOXセット『遠藤賢司実況録音大全 第ニ巻』のブックレットによせたイラストと文)
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2023/7/30