黒沢あすかのインスタグラム(kurosawa_asuka_official) - 5月12日 09時26分

#映画鑑賞

※ネタバレあり

『ボーダー〜二つの世界』
アリ・アッバシ監督

主人公ティーナ（エヴァ・メランデル）は類稀な嗅覚を使い、税関職員として働いている。

周りと自分の違和感は、幼い頃から突き刺す視線によって十分理解している。慣れることなどない。

いつものように仕事に集中していると、今までとは違う、心をざわつかせる匂いをキャッチする。
旅行者ヴォーレ（エーロ・ミロノフ）だった。

彼との距離を縮めるのにそう時間はかからず、深まるごとに「自分は何者なのか」と、今まで〈触れない・見ない・語らない〉ようにしていた深層に迫っていくようになる。

雷鳴と電光、そして雨、森。
出会えた二人が歓喜に湧き、全裸で樹々の間を走り抜ける姿は命の讃歌だった。

ティーナの心に浮かぶことや考え、物事の見方が形作られたのは環境か、それとも境遇か。

ヴォーレを形づくるただならぬ雰囲気は何が作用したのか。

幼少期、藤沢の自然の中で野生味あふれる時間を過ごしていた私は、ふたりのような種族が匂いを辿り共鳴し、生き生きしている姿を見て、仲間意識を持たずにはいられなかった。

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