和泉元彌のインスタグラム(izumimotoya) - 3月18日 12時58分
以前、共演した蓮城まことさん出演の舞台を拝見してきました。part2
ベートーヴェン
ー届かなかった手紙 ー
- 出演 -
フェルディナント・リース
#五関晃一
アントニー・ブレンターノ
#蓮城まこと
ジュリエッタ・グイチャルディ
#谷口めぐ
ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン
#池田努
- 構成・演出 -
渡部玄一(読売日本交響楽団)
- 演奏 -
ヴァイオリン
#渡部基一
チェロ
#渡部玄一
ピアノ
#望月晶
池田さんは、ベートーヴェンの耳の不調など疑いもしない自信に溢れる姿から、難聴を抱えても尚、揺るぎない音楽への情熱と女性への愛情、そしてその才能、しかし付きまとう苦悩や苛立ち、最後の時を迎えた我々の知らない枯れた姿を見事に表現されていました。その艶のある声を自在に操り、自信に膨らみ輝く時、苦悩に震える時、愛しい人に寄り添う時、最期を悟り音楽に想いを託した時…丁寧で明確な脚本と誠実に声にする五関さんのナレーションの力もありますが…それらがなかったとしても、ベートーヴェンの置かれた状況、心情を確実に伝えてくれるのです。
蓮城さんと池田さんは、人物の解像度が一段高く見えた気がします。時代や風景までもが見える感じです。
池田さんは台本の両端をそれぞれの手で掴み、台本がピン!と立つ。几帳面で頑固、自信と誇りを感じさせる堂々としたスタイルは、身長以上の威厳と風格を感じさせていました。
さて我らが蓮城まことさんですが、
暗転の中椅子に座り、待機している時から既に美しい。登場前にペットボトルの水を飲むシルエットすら美しい。極力情報を削り朗読に徹した今回のスタイルでは、指先や視線は大きな武器である!と、スポットライトの当たった蓮城さんを見て、再認識しました。台本を携えた左手を少し左に張り出して、スッと立つ姿は、スポットライトが一灯多いんじゃないかと思うほど輝いていました。
「目は口ほどに物を言う」あくまで台本に目を落とすことを忘れないからこそ朗読劇である縛りは外さないものの、話す相手を正面に置き、客席に訴える。時に優しく、時に寂しく、時に強く…ベートーヴェンに向けた感情を細やかにそして、ダイナミックに大小、緩急の波を巧みに使って、声の持つ力を存分に活かして、表現されていました。気品という熱いマントを纏いながらも、奥深くにある愛情、複雑な心境をしっかりと声に乗せてくる匠の朗読でした。そして、フリーにした右手は指先まで神経が行き届いて、最小限の動きながら繊細に心の機微を表して余りあるものでした。
さて、キャスティングの妙によって適材適所、ベストな役者陣がベートーヴェンとそれを取り巻く環境や人間関係を生きた言葉で描く中で、まさにその時代、その時に生み出された楽曲が演奏される訳です!今までこんな僕でも聞いたことのある有名な曲の、その聞こえ方が変わってくるのは必然でしょう。200年後にも天才の呼び名を欲しいままにするベートーヴェンが一人の人間として、一人の男として、ある相手に献呈した曲。天才が恋し、愛を持って紡いだ音たち。苦悩の中でそれでも音楽を信じ、書き上げた楽曲たち。難聴⁉️彼の頭の中には、彼の心の中には変わらず無数の音が鳴り響いていたことは疑う余地もない。
200年前、彼が心血を注いだ音楽が今を生きている僕たちの心を揺さぶる。彼の心が動きそれを音に託したからこそ、時代を経てもその音は人々を感動させるのだと…人の声もそれぞれに音色が違い、楽器のように音を紡ぎ出しています。
朗読劇の中心に置かれた音楽、声のみで表現された物語、音が人の心を伝えるものだ!と、
音楽家が偉大な音楽家の人間としての姿を、人としての心を伝えるために作り上げた舞台なのだと、
朗読音楽劇として作られた今回の舞台の意義を思い知らされました。
このプライドにも似た気概を感じ取ることができたのは、それぞれの世界で一流の表現者が作り上げた舞台だったからだと思います。
蓮城さん!素敵な時間を、
素敵な舞台に出会わせてくれて
ありがとうございました。
千穐楽まで多くの人に、ベートーヴェンの心を
ベートーヴェンの音楽の素晴らしさを
伝えて下さい。
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2023/3/18