平泉春奈のインスタグラム(hiraizumiharuna0204) - 2月20日 20時02分


『私とあなたの小さな世界』


見慣れた景色がオレンジ色の夜景と共に勢い良く流れていく。
ああ、もうすぐそこだ。
彼と会えない時間がまた、始まる。


「……帰りたくない」

ああ、言っちゃった

「……そんなこと言うなよ」

だって

「次の約束、決まってないもん」

言わずにはいられない

「仕方ないだろ……会社がシフト制なんだから」

そんなこと分かってる

「次いつ会えるのか分からないのにバイバイするとか、残酷過ぎるよ。本当に会えるのか保証もないのに」

止まらない

「おいおい、一体俺たちの身に何が起こるんだよ」

言わせる気？

「だって、明日大地震が来るかもしれない。そのまま二度と、会えなくなるかもしれないじゃん。それに……」


言いかけたところで車が突然大きく左折した。驚いて、思わず言葉を失う。

拓海は人気のないあぜ道に車を止めると、即座にベルトを外した。そして、両手で強く私の頬を包み込み引き寄せた。唇が激しく重なり、乾いた感触と共に湿った舌が私の中に入り込んだ。顔の角度を変える度、唇が一瞬だけ離れてはまた強く重なる。彼の寂しさやもどかしさが、流れ込んでくる。私は必死に何かを繋ぎ止めたくて、何度も心の中で彼の名前を呼んだ。

ようやく唇が離れると、拓海は深く息を吐いた。

「あのさ、俺だって帰したくないよ。葵を送った後の帰りの車、どれだけ孤独な気持ちになるか想像したことある？」
「……っ」
「このまま連れ去って監禁しちゃおうかなって、何度思ったことか」
「ええ？監禁？」
「そ。……確かに、明日どうなるかなんて分かんないけど……俺は今日もお前のこと全力で愛してるよ。そういう気持ちっていうのは、そんな簡単に揺らがない」
「拓海……」

ずっと我慢していた涙が、思わず溢れ出る。
車内の狭い空間で、私たちは強く抱き合った。小さくて狭い世界にひしめく2人の想いは、遠い街の光と月の明かりにさらされながら、寂しい音を鳴らし続けた。


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遠距離で久しぶりに会えた時の喜びは何にも変え難いものだけど、バイバイする時の寂しさもまた、同じ。
それでも愛したいと強く願う気持ちがある限り、きっと大丈夫。

本当はね…カーセックス描きたかったんだけど、消されちゃうからキス止まりにしました！笑
まあこれはこれでいいよね☺️



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