私、岡下にはこの季節になると必ず思い出す忘れられない恋がある。だからこの経験を小説風に書いてみました。これは僕の実話です。 ※長いのでほんまに暇な人だけ読んで下さい。 実話小説①「言いよった」 いつもならチョークが黒板にあたる乾いたカツ、カツという音色が僕を眠りに誘うのだが、その日は違った。長かった5限目の数学の授業も終わろうとしてる最中、僕はまた斜め左前に視線をやる。 今日だけでおそらく140回はあいつの席に目をやっただろう。それはもう凝視に限りなく近いチラ見。何度見てもあいつの席にあいつはいなかった。昨日の出来事が頭の先とつま先を何度も往復し、何時間もつけっぱなしのパソコンのように僕の身体は鈍く熱を帯びている。 後悔、羞恥、怒り、味わったことのない色んな感情が混じった大きく濁ったため息は5限目の終わりを知らせるチャイムの音にのまれて消えていった。 それは僕が中学2年の終わり、例年より少し早く桜が咲きそうな暖かい3月のことだった。 普段の1.5倍はゆっくり時間が流れる。そんな気がする日曜日。いつものように僕の部屋で周平(しゅうへい)と漫画を読んだり、テレビを見たり、特にこれといった会話もなくただただ一緒に過ごすだけの休日。 周平とは小学校2年生からのくされ縁で、本当によくある幼馴染の典型だ。(こいつがロシア人とのハーフなの?ってくらい男前なのだが、それはまぁいい。) そんな周平がテレビゲームに集中してると思いきや唐突に 「ミチナガとはどうなん?」 「え?」 僕は読んでいたあしたのジョーを危うく落としそうになる。 「道長 弥生 (みちなが やよい)やん!!最近どうなん?」 「え?……別に普通やで〜。」 そう冷静に答えた僕の心臓はソーラン節のごとく踊り狂う。 「告白とかせーへんの?」 「え?……まぁ〜な〜。」 「ええんか?あと2週間くらいで春休み入って、すぐクラス替えやろ?そうなったら喋るタイミングとかなくなるでー!告白とか絶対できひんようになるでー!どうなん??実際??」 カチっと音が聞こえるくらいあきらかに変なスイッチが入った周平。 「ん〜……まぁ〜な〜。」 ソーラン節を踊り続ける僕の心臓。 「告白するなら今やと思うなー!俺、道長は岡下を意識してると思うなー!」 「いや〜、それはないわ。友達や思ってるって。」 「今から電話して告ろや!」 大昔の人からすれば、地球は太陽の周りを回っているんやで!ばりの革命的な一言が放たれた。僕は彼が何を言ってるのか理解するのに数秒かかった。 「ん?………今から?」 「そう!さすがにやめとく?」 「まぁ、別にええねんけど。え?ほんまに今から?」 「そうやって!今日逃したらないような気するなー!」 「え〜。電話で?え〜。今から?」 「そう!ほなやめとくか?」 「ええけど〜。………マジで言うてる?」 「なんで?嫌?」 「嫌って言うか…え?今?」 みたいな世界一どうでもいいやりとりを繰り返すこと1時間弱。僕は電話で告白することを決めた。 クラスの連絡網を横目に家電(いえでん)の子機を握りしめる。押せない。どうしても番号を押すことができない。子機とにらめっこ。ふと顔をあげると周平がテレビゲームをしながらニヤニヤと微笑んでいる。緊張でショート寸前の僕を見て片手間に笑っている。腹が立つ顔をしている。 その瞬間僕はとんでもないことを口にした。 「なぁ……周平。お前が電話して言ってくれへん?」 「え?俺が?岡下が道長のこと好きや!って?」 「頼むわ……。」 「ええよ!」 「………ええんかい。」 「電話貸して!」 周平は何の戸惑いもなく母親に電話するくらいのテンションで電話をかけだした。 「あ、もしもし。同じ中学の川崎と言う者ですが、弥生さんおられますか?……はい。」 周平は嬉しそうに顔をくしゃくしゃにして 「おるって!」 楽しんでやがる。こいつ何の変哲もないただの日曜日に起こった突然のドキドキイベントを満喫してやがる。この野郎…うっすら保留音の電子的な音が聞こえる受話器を耳と肩で挟み、天井を見るわけでもない、斜め上を見ながら女神さまみたいに微笑んでいる。殴りたい。が、今の僕の立場では無力。正座をして下を向くことしかできないのだ。それは遠山の金さんに裁かれる罪人のように。 そしてその時は来た。 「あ!もしもし!道長さん?6組の川崎やけど、わかる?うん!うん!そうそう!」 にこにこし、ちらちら僕に視線をやる周平。 「突然やけど、ほんまにびっくりすると思うねんけど……」 うぉーーーー!!! 「同じクラスの岡下おるやんか?うん!実は岡下が道長さんのこと好きやねんって!」 言いよった。 「え?そやで!いや、ほんま!ほんま!いや、どっきりとかちゃうから!」 そらびっくりするわな。 なんで自分で好きって言うことができんかったんやろ。 道長、なんかごめんな。の気持ちで僕は胸がいっぱいになった。

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岡下雅典のインスタグラム(consuta_okasita) - 3月16日 18時47分


私、岡下にはこの季節になると必ず思い出す忘れられない恋がある。だからこの経験を小説風に書いてみました。これは僕の実話です。 ※長いのでほんまに暇な人だけ読んで下さい。

実話小説①「言いよった」

いつもならチョークが黒板にあたる乾いたカツ、カツという音色が僕を眠りに誘うのだが、その日は違った。長かった5限目の数学の授業も終わろうとしてる最中、僕はまた斜め左前に視線をやる。
今日だけでおそらく140回はあいつの席に目をやっただろう。それはもう凝視に限りなく近いチラ見。何度見てもあいつの席にあいつはいなかった。昨日の出来事が頭の先とつま先を何度も往復し、何時間もつけっぱなしのパソコンのように僕の身体は鈍く熱を帯びている。 後悔、羞恥、怒り、味わったことのない色んな感情が混じった大きく濁ったため息は5限目の終わりを知らせるチャイムの音にのまれて消えていった。
それは僕が中学2年の終わり、例年より少し早く桜が咲きそうな暖かい3月のことだった。

普段の1.5倍はゆっくり時間が流れる。そんな気がする日曜日。いつものように僕の部屋で周平(しゅうへい)と漫画を読んだり、テレビを見たり、特にこれといった会話もなくただただ一緒に過ごすだけの休日。 周平とは小学校2年生からのくされ縁で、本当によくある幼馴染の典型だ。(こいつがロシア人とのハーフなの?ってくらい男前なのだが、それはまぁいい。) そんな周平がテレビゲームに集中してると思いきや唐突に 「ミチナガとはどうなん?」 「え?」 僕は読んでいたあしたのジョーを危うく落としそうになる。 「道長 弥生 (みちなが やよい)やん!!最近どうなん?」 「え?……別に普通やで〜。」 そう冷静に答えた僕の心臓はソーラン節のごとく踊り狂う。 「告白とかせーへんの?」 「え?……まぁ〜な〜。」 「ええんか?あと2週間くらいで春休み入って、すぐクラス替えやろ?そうなったら喋るタイミングとかなくなるでー!告白とか絶対できひんようになるでー!どうなん??実際??」 カチっと音が聞こえるくらいあきらかに変なスイッチが入った周平。 「ん〜……まぁ〜な〜。」 ソーラン節を踊り続ける僕の心臓。 「告白するなら今やと思うなー!俺、道長は岡下を意識してると思うなー!」 「いや〜、それはないわ。友達や思ってるって。」 「今から電話して告ろや!」 大昔の人からすれば、地球は太陽の周りを回っているんやで!ばりの革命的な一言が放たれた。僕は彼が何を言ってるのか理解するのに数秒かかった。 「ん?………今から?」 「そう!さすがにやめとく?」 「まぁ、別にええねんけど。え?ほんまに今から?」 「そうやって!今日逃したらないような気するなー!」 「え〜。電話で?え〜。今から?」 「そう!ほなやめとくか?」 「ええけど〜。………マジで言うてる?」 「なんで?嫌?」 「嫌って言うか…え?今?」 みたいな世界一どうでもいいやりとりを繰り返すこと1時間弱。僕は電話で告白することを決めた。 クラスの連絡網を横目に家電(いえでん)の子機を握りしめる。押せない。どうしても番号を押すことができない。子機とにらめっこ。ふと顔をあげると周平がテレビゲームをしながらニヤニヤと微笑んでいる。緊張でショート寸前の僕を見て片手間に笑っている。腹が立つ顔をしている。
その瞬間僕はとんでもないことを口にした。 「なぁ……周平。お前が電話して言ってくれへん?」 「え?俺が?岡下が道長のこと好きや!って?」 「頼むわ……。」 「ええよ!」 「………ええんかい。」 「電話貸して!」 周平は何の戸惑いもなく母親に電話するくらいのテンションで電話をかけだした。 「あ、もしもし。同じ中学の川崎と言う者ですが、弥生さんおられますか?……はい。」 周平は嬉しそうに顔をくしゃくしゃにして 「おるって!」 楽しんでやがる。こいつ何の変哲もないただの日曜日に起こった突然のドキドキイベントを満喫してやがる。この野郎…うっすら保留音の電子的な音が聞こえる受話器を耳と肩で挟み、天井を見るわけでもない、斜め上を見ながら女神さまみたいに微笑んでいる。殴りたい。が、今の僕の立場では無力。正座をして下を向くことしかできないのだ。それは遠山の金さんに裁かれる罪人のように。

そしてその時は来た。 「あ!もしもし!道長さん?6組の川崎やけど、わかる?うん!うん!そうそう!」 にこにこし、ちらちら僕に視線をやる周平。 「突然やけど、ほんまにびっくりすると思うねんけど……」 うぉーーーー!!! 「同じクラスの岡下おるやんか?うん!実は岡下が道長さんのこと好きやねんって!」 言いよった。 「え?そやで!いや、ほんま!ほんま!いや、どっきりとかちゃうから!」 そらびっくりするわな。
なんで自分で好きって言うことができんかったんやろ。
道長、なんかごめんな。の気持ちで僕は胸がいっぱいになった。


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2018/3/16

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