平原綾香さんのインスタグラム写真 - (平原綾香Instagram)「. 初めて会った瞬間「あーや！」「芳雄！」と呼び合えるほどなぜか意気投合できたのは彼の大きな心がそうさせてくれたのだ。何度かデュエットさせていただいたけれどこうしてミュージカルでご一緒するのは初めてのこと。とても気遣いのある方で人の心の痛みに寄り添い救い出すパワーがある。この間も、自分自身ちょっと惨めな切ない気分になったときに芳雄がスッと目の前に現れ塞ぎ込みそうな気持ちを救ってもらったばかりだ。彼の心のあたたかさにいつも感動する。私は人の名前を呼ぶのが好きだ。あだ名も好きだ。あだ名を作るのも。呼び方によって、相手との距離が縮まることもあればその呼び名の通りの自分になっていく一種の、呪文のような力があると思う。例えば母になったとき、子供やまわりの人から “お母さん” “ママ” などと呼ばれることによって自分は母なのだと自覚していくのだろう、たぶん。 “お母さま” “おふくろ” など呼び方によっても、気持ちの持ち方が変わる気もする。呼び方も本当にさまざまで両親を下の名前でさん付けで呼ぶご家族もあればお父さんのことを “父！” お母さんのことを “母！” と呼んでいる家族も知っているのでそれはそれで面白く、魅力的なのだ。ちなみに平原家は、普段 “パパ” “ママ”の呼び方が常だ。父と母も、お互いをそう呼び合う。しかし、親戚の家に行った時や父と母が、ふたりで話している時だけお互いに下の名前で呼び合っていることを娘たちは知っている。実は何気にかなりの胸キュンポイントだったと今更感じているのは私だけだろうか。今回のミュージカルのお稽古では外国のスタッフが出演キャストを覚えやすいように呼んでほしいニックネームを自分で申請するシステムがあった。私はいつも “あーや”だがあやちゃんこと望海風斗さんはどうするんだろう。 “あやこ” で登録なさっていたら私が “あーや” にすると余計分かりづらいのではないか、と悩んだ挙句一応 “AYAKA” で申請したが「何か不都合があれば名前を変えるのでいつでも言ってください」と制作さんには話していた。後に呼び名の一覧が発表されたとき “FU-TO” と “AYAKA” になっていたがあやちゃんは “AYAKO” で申請していたそうで、最終的に今は “あやこ” と “あやか” で収まっている。「こ」か「か」か。お稽古中も、外国スタッフから最後の文字を聞くまでどちらが呼ばれているか分からないところになんとも言えないドキドキ感がある。「AYA〜」と伸ばされたときは大体外国スタッフもどちらを呼ぶかを考えている数秒なのだ。「か」でも、発音の “O” オーが強いと「こ」に聞こえなくもない。私がもし “HIRAHARA” で申請していたら分かりやすかったかな。いや、呼びにくいうえに面白すぎるか。私のもう一つのあだ名の “MiMi” でもよかったかなぁと今更思う。サティーンはときどきムーラン・ルージュの仲間から “ママ” と呼ばれることがある。子供と親ほどの年齢差はないが彼らにとっては、頼りになるお姉さんでありときに、たくましい母のような存在なのだ。「ムーラン・ルージュ！」における “クリスチャン” の名前の由来を皆様ご存知だろうか。アソシエイト音楽スーパーバイザー Stephen Amosさんから聞いた話では生みの親、バズ・ラーマン氏が “キリストのような人” という意味を込めて名付けたそうだ。サティーンは、サテンの生地をイメージしているのでは、と。ここは確かではないみたい。サティーンにとってクリスチャンの存在は大きい。クリスチャンによって心が救われていく瞬間がいくつもある。自分自身に目を背け、隠してきた真実の愛。自由とは、心のままに愛するということ。美しさとは、人を心から愛する気持ちなのだと知る。そうだ、人をまっすぐに愛していいのだ、と。運命がちゃんと動きだすのは、きっと自分の中に、愛を見つけた時だ。真実、美しさ、自由、愛このミュージカルにとって重要な４つのキーワード。皆様はこのミュージカルに何を感じるのだろうか。そして、みんなから何と呼ばれどんな自分になりたいだろうか。私は、本当はあーやって呼ばれたくて末っ子だから本当は人に甘えたいですよ、そりゃ。芳雄、よしお、ヨシオ、YOSHIO。お稽古を見ていてもなんでも容易くこなしてしまう彼の佇まいにいつの間にか、私はこう呼ぶようになっていた。「大御所！」天使たちに囲まれ、本日も笑いが絶えない楽しいお稽古になった。」5月26日 23時29分