SPURのインスタグラム(spurmagazine) - 5月9日 00時14分

【KYOTOGRAPHIE】
写真家パオロ・ウッズとジャーナリストのアルノー・ロベールが5年をかけたプロジェクト『ハッピー・ピルズ』は製薬業界を掘り下げる取材から始まった。写真展の入り口に掲出されているのは、研究用のラットを「くすぐる」専門職の手元の写真だ。実際、ツボを刺激することでラットは「笑う」そうで、一見微笑ましく思えるこの写真の裏側には、脳のどの部分に笑いを司る部分があるのか、ひいては解剖研究の延長に何らかの化学物質を投与すれば、人間の笑みをコントロールできるというSFのような現実が見え隠れしている。実際、我々は製薬に何を求めているかという問題も、突き詰めれば人間の限界を超える奇跡を期待する域にも達しているわけで、その皮肉を込めて本展は「幸せな薬」と名付けられた。錠剤と消費者の関係、それが世界のどの場所でどう関わり合っているのか？ クスリとそれを手に取る人々を追いながらスイス、インド、マサチューセッツ州、ハイチへと二人は旅する。ヒトの脆弱性やグロテスクな業界の側面にも触れながら、自身と製薬の関係も見つめ直す濃密な時間となるはず。
場所はくろちく万蔵ビル2Ｆ、5月14日(日)まで。

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