猫沢エミのインスタグラム(necozawaemi) - 5月2日 01時08分

なんにもしない。ぼんやりしている。

とろとろと、蛇口から水が流れるのを、ただ眺めているような時間がとても気持ちいい。あんなに怖かった、時計が1秒を刻む音を、今は心地よく聞いていられるまでになった。

何度目かの《めがね》を観る夜。

この映画に登場する人々は、本当はもう死んでいる…というまことしやかなサブ設定を聞いた時「あゝ」と、なにもかもが腑に落ちた。

ところで、映画にしろ、本にしろ、咀嚼されて味が決まりきったものしか理解できない人がいる。それが悪いということではなく。

ただ、怖いんだろうなと思う。理解できないことに、不安を覚えるんだろうなと。

この素晴らしい映画に顔を引き攣らせ、むきになってネットに書き込んでいる人の気持ちがわからなくもない。どうしたって、考えたり、感じたりを見手側がやらないと完成しない物語だから。

その行間こそが、素晴らしいんだけどな。

すくなくとも、私は何度も助けられている。優しい余白に満たされた、ひとつの答えを押し付けないこの映画に。

どこでもない世界。あの世でもこの世でもない。
登場人物たちは、いるのだかいないのだかわからない。

でも、どこにもいないということは、どこにでもいられるということなんだと私は思う。

#猫沢映画館　#イオちゃんフォーエバー

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