吉井明子のインスタグラム(akiko_yoshii_sunny_rain) - 2月23日 17時36分

私は信じていた。必ず辿り着けると。

それは、自分の並んでいるレジが一番早くに会計をしてもらえると疑わないように、力強く。

ゲートをすり抜けて、150メートルの間に3人追い越した。マスクの中の呼気が荒くなって自分に跳ね返ってくる。マフラーを首から解いて左手に束ねて持つ。首筋にはじんわりと汗が滲んでいた。襟足の毛が首に張り付いてくる。

歩調がますます早くなる。信号が青になるタイミングを2つ先まで計算する。

着いた。でもまだ、ゴールではない。自分より先に2人。自分が一番なんてことは人生でそうそうない。焦る。でも諦めない。大事なのは、そこに居続けることだ。2番でもいい。自分の順番が回ってくるのを待つ。静かに待つ。

順番が回ってきたとしても、自分の意思を自分の言葉で伝えることができるのか。自分の考えはさっぱりと整理されているのか。待っている間にきちんとシミュレーションしていたのか。そう思うと、待っている時間こそ試されているのだ。

きた。私の番だ。喉が乾いて、なかなかすぐに声が出ない。手にまとわりつく取り損ねたテープのように。言葉が空回りする。言うんだ。

「ケーキ3つください」

辿り着いた。

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