SPURのインスタグラム(spurmagazine) - 12月3日 13時45分
「色を創り出すアプローチは、音楽と似ています。ひとつひとつの色は最初、論理的かつ数学的にセオリーを組み立てて生み出すのですが、それらはやがてストーリーを奏でながらハーモニーになっていきます。最終的にメロディになるときには、非常に情感的に美しいものが出来上がっていくのです。色とは、じつは音符のようなものなのですよ」
オンライン越しの発表会で、エルメスのビューティ部門のクリエイティブ・ディレクターのジェローム・トゥロン氏はこんなふうに語りました。
そう聞いてこの鍵盤のような≪ピアノ24色≫を見ると、どうですか。世にも美しい旋律が聞こえてきませんか?
ローズトーンの秋冬の限定3色も発売中。いずれも心地よいくすみトーンです。SPURが特にレコメンドしたいのは、写真4枚目、ベルベットタッチのベージュローズ「ローズ・ニュイ 54」。艶消しマットのシックな色みが冬に向かう陽光にしっくりなじんで素敵なんです。
ちなみにエルメスの口紅ケースは、レフィル交換が可能。サステイナブルのひとつの提案です。写真5枚目のカラースウォッチは、上からローズ・ポメット 32、ローズ・オンブレ 45、ローズ・ニュイ54。
もし手に取ることがあったら、口紅の外箱の紙をよーく眺めてほしいんです。イレギュラーなテクスチャーが見えますか? こちら、リサイクルペーパーを採用しているので、ひとつひとつ表情が異なるんですよ。
余談ですが、この発表会ではペットボトルではなく紙のパッケージの水が提供されました。飲料容器の中で比較すると、紙パックは気候変動への負荷がもっとも少ないとされています。美容発表会で私自身、紙パックの水に出会ったのはこれが初めて。エルメスがサステイナビリティに本気だという証左ですね。
最後にジェロームに聞いてみました。2月パリでの発表会で「色とは旅のようなもの」と表現していましたが今、あなたはどうやって旅をしているのですか?
「たしかに抗えないかたちでこういう世界になってしまいましたよね。でも夢を見たり、音楽を聴いたり、映画を観たり……ひとはいろいろな手段で世界に向かって心を開くことができるのです。実際に旅を再開できる日が来るまで、心を違ったかたちで旅をさせ、インスピレーションを得ることができるはず」
「色を通して夢を見たり、または色を通じて旅をすることもできるでしょう。そしてマスクを通して唇が隠れたとしても、自分自身が心地よくあるためにメイクアップをすることも意味があることなのです。人に見せるためではなく、自分のために」
ぼんやり考えていたことが、はっきり輪郭をもって見えたような気がしましたね。この半年、無色な毎日に慣れきってしまった日もありました。どうせ誰にも会わないから、と口紅を塗らない日もありました。でも、究極の意味でメイクアップとはそういうことじゃないかと。誰のためでもなく、自分のために。自分の心を底上げする、そんなシンプルで利己的な目的のためでいいんです。その1本から聞こえる微かなメロディがたったひとりのあなたを救ってくれる、そんな奇跡もあるのかもしれません。
口紅1本のギフトも素敵。2020年を走りぬいた自分へのホリデーギフトにもどうですか?
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2020/12/3