林信行のインスタグラム(nobihaya) - 11月28日 14時16分


テクノロジー全盛で、神の領域に踏み入れようとしている、とまで騒がれていた人類が、2020年、見えない力にただただ翻弄されまくっている。

MOTアニュアル2020 透明な力たち
&
MOTコレクション 第2期 コレクションを巻き戻す
- 2021/2/14

凄まじい熱量の石岡瑛子展が開催されている東京都現代美術館。
その上のギャラリーでは「若手作家の作品を中心に、現代美術の一側面を切り取り、問いかけや議論のはじまりを引き出すグループ展、MOT アニュアル」の第16回が開催されているが、そのタイトルは「MOTアニュアル2020 透明な力たち」。

重力や磁力や摩擦、DNA、さらにこうした大きな災害が起きると、日本ではことさら顕著になる「こういうときは、こうするのが当たり前」を人に求める同調圧力と言った透明で見えない力をテーマにした展覧会です。

重力、風力、磁力などを、どこか18、19世紀的な雰囲気を漂わせる謎の機械仕掛けが並ぶ片岡純也+岩竹理恵の展示。

光合成で葉に高解像度のグラフィックプリントを行う代表作Photosynthegraphを含む、清水陽子のセルロースを培養してつくったスピーカーなどBio-Speakerといった生命科学を使った作品群。

Goh Uozumiの自律分散組織、プログラマブル・マネー、機械学習、監視社会、クリエイティヴ・コーディングなどの「文明における自動化の動向」を考察する作品。

最後のオチが良い中島佑太の家庭内ルールから公共の在り方、社会的分断などの題材を内包し、ルールやタブーといった身の回りのテーマに切り込んだ作品群。

そして超常現象や自然科学的に知覚できないもの、精神分析や社会科学の中の見えない関係性を「オカルト(隠された存在)」と総称し、独自の装置で表した久保ガエタンの作品群が並ぶ。

中島佑太作品の、これがオチかという部屋に入ったら、しばらくゆっくり過ごしてもらって、大きな音が鳴り止んでからカーテンをくぐり、久保ガエタンの作品は、まずは映像作品を最初から最後まで(可能ならベンチに座って)楽しんでもらいたい。

今年はオラファー・エリアソン展でも大きな話題を呼んだ東京都現代美術館だが、今回は石岡瑛子展と、この「MOTマニュアル」だけで美術館を2つ回ったような満足感と充足感が得られるが、これらの展覧会のチケットで「MOTコレクション 第2期 コレクションを巻き戻す」も見ることができる。
1階には、ちょっと現代美術館っぽさが薄れる、東京都現代美術館の前身1926年開館の東京府美術館の頃からの作品が並んでいるが、これはこれで良いコントラストになっている。しかし、ここであまり時間を費やすと、3階に行ってから後悔する。
ドナルド・ジャッド、アンディー・ウォーホル、イヴ・クライン、デイヴィッド・ホックニー、ロイ・リキテンスタイン、ゲルハルト・リヒターそして宮島達男といった大御所の大作が、これでもかというほど並んでいる。
個人的にはMOTの展示空間に合わせて作成されたという、唯一撮影可能だった最後の宮島達男作品とアラン・マッカラムの240個の石工の代用物という作品が好きだった。

東京都現代美術館、石岡瑛子展が目当ての人は、きっと帰り道は石岡瑛子展の余韻を味わいながら帰りたくなると思う。しかし、せっかく東京都現代美術館に行ったからには、「MOTマニュアル」も見たいし、そこまで大作があるなら、しっかりとコレクション展も見たいと思うことだろう。とすると、石岡瑛子展だけでも、しっかり見ようとすると2時間近くは見ることになりそうなので、次の東京都現代美術館訪問はおそらく1日がかりになることは覚悟した方がよい。

MOTアニュアル2020 透明な力たち
および
MOTコレクション 第2期 コレクションを巻き戻す
2020年11月14日(土)- 2021年2月14日(日)
休館日 月曜日(11月23日、2021年1月11日は開館)、11月24日、12月28日-2021年1月1日、1月12日

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