田中知之のインスタグラム(tomoyukitanaka) - 9月10日 16時17分

東京に戻る前に、どうしても観たかった中之島の国立国際美術館で開催中のベトナム生まれの現代美術家 ヤン・ヴォーの本邦初となる個展「ヤン・ヴォー ーォヴ・ンヤ」へ。

ルーツであるベトナムやベトナム戦争の敵国であるアメリカ、家族の歴史、自身のセクシャリティーや婚姻などをテーマに、ヴォー本人がオークションやアンティークショップで買い求めた歴史的な手紙や家具、はたまたガラクタまでをリコンストラクトしたり、そのまま手も加えずに陳列したりして見せる作品は、多角的な視点で物体を眺めることを我々に要求し、ただならぬインパクトを与えてくれる。

例えば、ケネディ政権時の閣議室で実際に使用された二脚の椅子を解体した作品や、ジョンソン大統領が1964年に国防物質調達法案に署名した時に使用したペンとインクをそのまま展示した作品は、オークションによる買い物という言わば俗っぽい行為が、政治的&歴史的な意味をも内包したレディメイド的な芸術へと昇華することで生まれたわけで、時に「買い物はクリエイトだ！」と無駄遣いの言い訳を声高々に謳ってきた我々にとってもとても興味深い。リモワのトランクにぶった斬ったキリスト像を詰めた作品があったからが理由ではないけれど、何かバージル・アブロー的なファッション性すら感じた（展示品は一切撮影不可だったため作品の写真はありませんが）。

山本 憲資君が既に指摘していたのだが、特に作品に詳しいキャプションや説明が与えられていない展示なので、有料（500円）の音声ガイドをエントランスにてレンタルされてから鑑賞されることをお勧めする。今回は東京などへの巡回はなし。10月11日まで。

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