Factelier(ファクトリエ)のインスタグラム(factelier) - 7月2日 22時28分


【美濃和紙の復活劇:前夜〜消えゆく伝統文化を現代に活かす挑戦〜】
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日本最古の紙は、正倉院に保管されている1300年も昔(大宝2(702)年)の戸籍を記した資料とされています。
その紙には、美濃国(岐阜県南部)、筑前国(福岡県西北部)、豊前国(福岡県東半部と大分県北部)で漉かれた和紙が使用されているそう。

中でも、美濃国で漉かれた「美濃和紙」は、繊維がむらなく絡み合い、強いだけでなく柔らかみのある独特の肌ざわりを持っています。
この、本美濃和紙を含む日本の手漉和紙技術は、ユネスコ無形文化遺産にも登録されているのです。

が、文化遺産だからと言って後世に残るわけではありません。
手漉和紙の生産量は年々減少。

さらに現代の生活では和紙自体に触れることすら少なくなってしまう現状に、日本の伝統文化を現代に活かしたい!そんな思いで立ち上がったのが岐阜県関市にある「東洋繊維」です。

自分たちの持つ技術や強みで美濃和紙を活かして、日常のアイテムに!
そうして企画されたのが「美濃和紙の靴下」なのです。

その開発のストーリーを、兄弟2人で東洋繊維の3代目を勤める「靴下ブラザーズ」の水谷顕冶さんと水谷陽治さんにお話を伺いました。

東洋繊維の歴史はとても古く、はじまりは昭和12年、名古屋市中区にて創業者・水谷定一さんが開業したメリヤス卸商店にまでさかのぼります。

戦争が激化する中で岐阜県岐阜市に疎開したものの、海軍の招集で軍隊生活を送っていた定一さんが、戦争が終わり、岐阜市に帰ってみると無残にも空襲で材料は丸焼け。
そんな中、かろうじて唯一残っていたのは靴下編機でした。
この焼け残った靴下編機を前にし、必ず事業を再開してみせる!と意欲が湧き上がったそう。

その後、同業社と合併、社名変更などを経て、平成18年に今の「株式会社東洋繊維」が誕生しました。

実は日本の靴下の名産地といえば奈良県。
東海地区で靴下を作る工場は珍しかったことから、通常であれば外注するような、後工程と呼ばれる靴下本体の生地を編んだ後のつま先を縫う作業や検品等の作業も、一貫して自社で行わねばなりませんでした。
ですが、それが今の東洋繊維の特徴でもあり強みにもなっています。

さて、そんな東洋繊維が和紙に出会ったのは今から40年ほど前、2代目が参加した異業種交流会でのことでした。

もともとチャレンジ精神が旺盛な企業文化の東洋繊維は、当時「いろんな素材で靴下を作ろう!」と、岐阜県内のあらゆる企業から依頼される素材で靴下づくりにチャレンジしていました。
なんとワイヤーで作ろうとしたこともあったそうです。

その中で出会った美濃市の製紙屋さんから、「なんとか美濃和紙を使って何か作れないか?」という相談を受けたのが始まりでした。
時代の変化と共に洋紙が主流となり、和紙の需要が減少していたのです。
伝統のものづくり、そして地域の文化でもある美濃和紙をなんとかして次世代に繋いていきたい!そんな強い思いがありました。

こうして始まった和紙ソックスづくりですが、もちろん和紙を洋服に、しかも強度が必要な靴下にするなどということは容易いことではありませんでした。
開発は失敗の連続。

当時の和紙糸ではカーブのついた生地を編むことが難しく、糸の強度も高くありませんでした。
そのため、最初に出来上がった製品は、靴下の足首から上だけが和紙、かかとやつま先には通常の靴下と同じ素材が使われており、「優れた靴下」というよりは、美濃市のお土産として販売されていた程度。

ところが一方で、実際に履いた工場の職人からは「蒸れにくい!」「なんだか臭いも付きづらい気がする!」という声が上がり、たちまち工場内で話題に。

実は、日本古来から使われてきた和紙の繊維は多孔質で繊維にたくさんの小さい穴が空いているため、調湿性が高いので足が
蒸れず、さらに嫌な臭いを吸着してくれる消臭性があります。さらには抗菌性ももち合わせた、靴下にするにはもってこいの素材だったんです!

それから東洋繊維は本格的な和紙ソックスづくりに没頭していったと言います。

とはいえ、ここからが苦労の連続でした。
次回は、当時の和紙糸から現在の和紙糸へ一体どのように進化したのか、その過程をご紹介します。
それは、まさに地域の繋がりから始まった美濃和紙の復活劇とも言えました。

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2020/7/2

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