黒河内真衣子のインスタグラム(mamekurogouchi) - 4月21日 18時36分

まだ冬の寒い頃、みんなでしろちゃんから糸を紡いだ。アトリエではほんの僅かしか繭がとれなかったけれど、繭から糸口を探してぴーっと白く透明に輝く糸があらわれた時、歓声があがった。しろちゃんは糸をはきはじめる頃になると体が透明になった。おばあちゃんがそうなったら場所を移してあげてねと言っていた。繭は白ちゃんがはいた1本の糸でできているんだなぁと改めて思った。
ちなみに現在の蚕は自分で繭から出てくることが出来ない。卵を産ませる蚕だけ繭を切って外に出してあげるけれど口もない蚕は何も咀嚼できないし卵だけ産んで数日で死んでしまう。ちかちゃんはその数日しろちゃんをデスクの横において働いていた。みんながしろちゃんを愛でていた。糸を取る繭の中の蛹はお湯で茹でて殺さないといけない。糸一本、お蚕様達の命を頂いて紡ぐのだとずしんとくる。Embrace "包む"をテーマに一年コレクションを作っていたけれど、いつの間にか私達が包まれていたように思う。しろちゃんが自分の周りに糸をはいて薄いベールの膜で包まれていった。いつかは白い中で見えなくなってその光景はいつまでも頭の中を離れなかった。
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• yuichironoda