平泉春奈のインスタグラム(hiraizumiharuna0204) - 3月6日 20時12分
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連作短編『恋は2度目から』
第2話 近づく距離(咲良サイド)
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いい年した男女が2人きりで会うようになれば、さすがに中学生の可愛い恋愛のようにはいかないだろう。
そう思っていたのだけど、驚くことにあの夜から3ヶ月、私達はキスもしていなかった。
プラトニックで、それでいてなんとも心地の良い関係が続いていた。
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杉崎さんはこの日もビールをグイっと飲んで
心底楽しそうに私の話を聞いてくれた。
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「いつも私の話ばかりでごめんなさい」
「え?なんで謝るの。俺は早見さんの話を聞きたいんだから謝る必要なし」
「でも、なんか私ばっかり甘えちゃってる気がして」
「……それ、早見さんの悪い癖だね。甘えることのなにが悪いの。少なくとも俺は大好きな子に甘えてもらえてすごく幸せなんだけど」
「……なんで私のこと、そんなに……」
「俺は早見さんの、強くて弱いところが好きなんだよ」
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即答されて硬直した。
こんなに真っ直ぐに私を好きだという彼は
何をどう見ても相手に困らないだろう魅力に溢れてる。
私じゃなくてももっと素敵な人沢山いるだろうに。
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「俺は結構、こう見えて人に自分の本心を出せなかったりするんだ。どこか裏を見ちゃうし、信じきれない。これは俺の悪い所。でも早見さんといると俺が俺のままでいられるんだ。早見さんの強さが俺を映し、弱さが俺の心を解く。きみが必要だと本能的に感じる。言ってる意味、分かるかな」
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ドキドキしていた。
久しぶりの感覚が胸の奥から湧き上がる。
まだどこか、それを邪魔しようとする想いも確かにあるけど
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「嬉しいです……」
「ん?それってちょっと俺のこと好きになってくれたってこと?」
「……杉崎さんと恋愛したら、きっと幸せだろうなって思いました」
「うーん……そんなこと言っちゃうと、そろそろ俺、紳士卒業しないといけなくなるけど大丈夫?」
「……」
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多分本当は、心の奥底でずっとそれを期待していた。
でも言葉にしてしまうことに抵抗がある。
私はまだ、前の彼を忘れていない。
今もまだ目を閉じると思い出される数々の記憶が
私を苦しめながらも甘い夢の中に閉じ込めていた。
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暫く黙っていたら、杉崎さんが伝票に手をかけた。
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「出ようか」
「え……」
「今すぐ、きみに触りたい」
「……!」
「男はね、今って思ったら早いんだよ。きみが俺を煽った。」
「でも……」
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彼は返事を待たずに私の手を強く握った。
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「決めるのはきみだ」
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射抜くようなその強い眼差しを受けて
心臓が大きく高鳴った。
私の心を長いこと縛り続けていた鎖が
音を立てて外れていくのを感じた。
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to be continued
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【登場人物】
早見 咲良(はやみさくら26歳)
杉崎 栄治(すぎさきえいじ30歳)
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連作短編『恋は2度目から』第2話でした!
最初から短編のつもりで書くと、普段飛ばしちゃう細かい描写ができて楽しいです♡会話とか。
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男が女を口説く方法って色々あると思うけど、時間かけてじっくり心を解いていく口説き方、個人的に好きなんですよね。もちろん勢いも好きだけど、自分勝手になり過ぎないで気持ちに寄り添ってくれるっていうのは嬉しいものです。次回第3話、2人は急接近するのか否か!お楽しみに♪
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2020/3/6