ヤマザキマリのインスタグラム(thermariyamazaki) - 10月16日 08時27分
昨日はアンスティチュ・フランセ東京 にてフランスのベストセラー漫画家(そして映画監督)のリアド・サトゥフ氏と彼の新刊「未来のアラブ人」をテーマにした対談がありました。
サトゥフ氏がかつてシリア人の父親とフランス人の母とともに、カダフィ大佐時代のリビアやシリアでの暮らしを記憶したこの作品を読めば、おそらく我々にとってはとっつきにくい、自分たちからはるかにかけ離れた異文化の極みとも思われるアラブ世界の、例えば諸国で勃発する様々な紛争やISのような組織の不可解な行動の意味が、なんとなく紐解くことができるかもしれません。
刊行されている1巻では、子供のサトゥフ氏が俯瞰で母の国であるフランスそして父親の赴任先リビアや実家のあるシリアでの暮らしを、冷静に洞察している秀逸なシーンがたくさん出てきます。
サトゥフ氏は吾妻ひでおさんの「失踪日記」に感銘したそうですが、辛いことをあえて不思議な人間たちの生態観察のようなユーモラスな描写に置き換える手法は同じです。それは私も「モーレツ!イタリア家族」など異文化エッセイ家族の漫画を描く時に意識していたことなので、興味深いものがありました。
この漫画を読み終わったうちの息子が「これは僕のことを描いた漫画だ...」と漏らしたのが印象的でした。確かに私も読みながら「デルスはこんな気持ちだったんだろうか」と何度も反芻していましたが、厄介な親を持った子供はほんとに大変なんだな。
リアドさん、すごい漫画をありがとうございます。
そしてこの漫画を日本で刊行してくださった出版社にも、ありがとうございます。
2巻の刊行を心待ちにしております。
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2019/10/16