eclat.magazineのインスタグラム(eclat.magazine) - 2月23日 20時26分
『エクラ』3月号『奇想の系譜展』記事の【補講2】として、今回は長沢芦雪をお送りします。紹介している作品は、『奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド』(@東京都美術館、~4/7)で通期展示中です。
いきなりですが、芦雪の奇想はちょっと異質。他の画家が「内容で勝負!」とばかりに「画面」の中で創意を燃やしているとしたら、この人だけは「そもそも絵って何だろう?」という視点を明確に持ち、「絵の外側」についてもテツガクして、見る人に驚きを与えます。
本誌でも小さく取り上げた『なめくじ図』(写真2枚目、一幅、個人蔵)は、その好例。この絵が描かれる現場に立ち会っていなくとも、なめくじの這った跡が「一筆書きの線」だということは見てわかりますよね。いたずら書きのような「ぐるぐる」が、なめくじの存在によって、「這った跡」というイメージに巧みに転換されています。
宴席などで「さて御覧じろ~」とぐるぐるから描き始め、最後になめくじを足して仕上げれば、「おお~!」と歓声が上がったことでしょう。『なめくじ図』が実際にはアトリエで制作されていたとしても、そうした即興的趣向を感じさせるところに価値があります。
もうひとつ、「絵の外側」を示唆する作例が、”ふにゃてへわんこ”が描かれた『白象黒牛図屏風』(写真3枚目、六曲一双、米国・エツコ&ジョー・プライスコレクション)。白黒、大小、硬軟といった対比の趣向だけでなく、この作品は屏風を開いていくプロセスを構図に取り入れているとも言われています。
屏風は、安定性確保のために真ん中から開くもの。写真4枚目以降、左隻で試してみると、まず、「あら、わんちゃん♡」。でも、子犬以外は何が描かれているのかよくわからない。続けてお尻側、最後に頭の側と順に開いていけば、謎解きのように全体像が現れます。
ここで芦雪は、6枚のパネル全体でひとつのイメージを作ることは当然として、「いかに屏風の形態にふさわしく、おもしろい絵を描くか」ということに意を注いでいるわけですね。展示にもこの点への配慮を感じました。
絵はどこまでいっても絵です。いかに本物ソックリに描かれていても、それは墨と絵の具の集合体でしかありません。芦雪は、そうした物質の痕跡からイメージが立ち上る瞬間をも、「絵のおもしろさ」として見せてくれます。料理でいえば、普通の画家の作品が厨房で完成されて運ばれてくるお椀ものなのに対し、芦雪の作品は、テーブル上で食べる直前に仕上げられる焼きもののようなライブ感がウリなのです。
もうひとつ紹介したいのは、島根県・西光寺蔵の『龍図襖』。そちらはwebにて。
(編集B)
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2019/2/23