北海道テレビ「イチオシ!モーニング」さんのインスタグラム写真 - (北海道テレビ「イチオシ!モーニング」Instagram)「「しっ、失礼します!」 綾沢イシ子はチョコレート売り場のある 駅ビルを飛び出した。 吹き荒ぶ氷点下の風が心を凍てつかせる。 「どうして、好きだったんだろう。」 意中の大野メグヲとは直接話した事はない。 学業優秀な所を教室の端から眺め、 スポーツマンな所を校庭の端から眺め、 なんとなく好きになったのだから、 そうで無くなったのも、ただなんとなく。  いつの間にか見知らぬ路地裏に出ていた。 「あれっ、こんな場所あったかしら…。」 薄暗い小道に寂れた建物が立ち並ぶ。 そこでイシ子は気になる張り紙を目にした。 『魔法のチョコあります』 ショーウィンドウもなにも無い洋館に、 『魔女アイリーンのお店』と書かれた 古びた看板だけが掲げられていた。 「魔法のチョコって、一体何だろう。」 木造のドアを軋ませながら開けると、 骨董品が並び、見覚えのある女性が一人。 「アイリーンのお店にようこそ!」 「あれっ、あいりちゃん!?」 「いえ、初めてお会いします。」 目の前の女性は、先程まで一緒にいた、 イシ子の親友・村木あいりに似ていた。 …が、どうやら違うらしい。 先が尖った真紅のつば広帽をかぶり、 同じ生地のマントと変わった格好だが、 顔や声はまがいも無く瓜ふたつだ。 「あなたは人見知りのようなので、 接しやすい人に姿を変えました。」 「そんな事できるんですか?」 「私、魔女ですから。」 「では、アイリーンは本名ですか?」 「ハハッ…鋭いですね。実は違います。 でも私の本名が何なのか、 あなたにとってはどうでもいい事。 どうぞアイリーンと呼んでください。」 にわかには信じ難い事ではあったが、 確かに親友あいりとは違う人物に感じた。 物腰が同じ年には思えないほど柔らかい。 「魔法のチョコはありますか?」 「もちろん、ありますよ。」 「それは、どういうチョコなんですか?」 「いろんな魔法がかけられたチョコ。 ただしこれはプレゼント専用。 自分が食べても効果はありません。」 「一体どんな魔法ですか?」 「例えば、食べた人に自分の事を 好きになってもらうチョコとか…。」 「えっ!?それ、ください!!」 「かしこまりました。他にもありますよ。 食べた人が金持ちになるチョコとか、 総理大臣になれるチョコとか。 反対に貧乏になるとか、病気になるとか、 恐ろしい魔法のチョコもありますが…。」 「それは、いらないです。」 「他にはどんなチョコが欲しいですか。 どんな願いも叶えてさしあげますよ。」 「そうですね…例えば相手と、 いい感じの関係になれるチョコは?」 「残念ながら、それは無いです。 あなたの言う『いい感じ』が曖昧で、 それは願いのうちには入りません。」 「では、仲良くなれるチョコは?」 「どれほど仲が良いんですか?」 「普通くらいです。」 「『普通』が曖昧です。 なにか具体的な例はありませんか?」 「急に言われても…。」 イシ子は困惑した。 自然とメグヲにあげるチョコを考えていたが、 どういう関係性になりたいのかわからない。 「じゃあ、こうしましょう。 ここに白と黒、2種類のチョコがあります。 白を食べると、あなたの事を好きなります。 黒を食べると、あなたの事を嫌いになり、 その後全く見向きもしないでしょう。」 「わかりました…いくらですか?」 「初来店のサービスです。お代は結構です。」 アイリーンはにこやかに微笑み、 2つのチョコをイシ子に手渡した。  ドアを開けた途端、肌を刺す突風が吹いた。 気がつけば、そこは見慣れた街並みだった。 思わずイシ子が後ろを振り返ると、 アイリーンの洋館は跡形も無く消えていた。 「おーい、イシ子さん!」 聞き覚えのある声の方を眺めると、 メグヲが息を切れせながら駆け寄ってくる。 「どうしたんだよイシ子さん…それは?」 掌には白黒2つのチョコがあった。 それぞれ透明な袋でラッピングされており、 傍から見ても、プレゼント用とわかる。 「これは、えーと…。」 「もしかしてそれ、オレにくれるのか?」 フラれてもなお、ポジティブ発言のメグヲは 空気の読めない男子ではあったが、 その言動にイシ子は腹を立てなかった。 元々チョコをあげたかったのは事実なのだ。 白を渡すか、黒を渡すか。 「バレンタインはまだ来週でしょ。 きょうは付き合ってくれてありがとう。」 「お、おう…。」 「それじゃあ、また来週。」 イシ子はメグヲと別れ、歩き出した。 白黒どちらのチョコも渡すつもりは無い。 魔法で人に好かれたいとも思わないし、 そんな相手を好きになれる自信も無かった。 ただ、“なんとなく”を続けたかったのだ。 「メグヲさん、どんなチョコいいかな。」 イシ子は魔法のチョコをカバンに入れ、 再び駅ビルへと向かった。  アイリーンはほうきに跨り、 上空からイシ子を眺めていた。 「人間はいざという時、 大した願い事をしないものね。」 そう彼女は苦笑を浮かべながら、 白黒2つのチョコをイシ子のカバンから、 魔法を使って取り上げた。  #htb #イチモニ #あいりチャンネルシアター #石沢綾子 as #綾沢イシ子  #木村愛里 as #村木あいり  #大野恵 as #大野メグヲ  #バレンタイン 恒例⁉︎ #続きはweb小説で」2月8日 14時06分 - htb_ichimoni

北海道テレビ「イチオシ!モーニング」のインスタグラム(htb_ichimoni) - 2月8日 14時06分


「しっ、失礼します!」
綾沢イシ子はチョコレート売り場のある
駅ビルを飛び出した。
吹き荒ぶ氷点下の風が心を凍てつかせる。
「どうして、好きだったんだろう。」
意中の大野メグヲとは直接話した事はない。
学業優秀な所を教室の端から眺め、
スポーツマンな所を校庭の端から眺め、
なんとなく好きになったのだから、
そうで無くなったのも、ただなんとなく。

いつの間にか見知らぬ路地裏に出ていた。
「あれっ、こんな場所あったかしら…。」
薄暗い小道に寂れた建物が立ち並ぶ。
そこでイシ子は気になる張り紙を目にした。
『魔法のチョコあります』
ショーウィンドウもなにも無い洋館に、
『魔女アイリーンのお店』と書かれた
古びた看板だけが掲げられていた。
「魔法のチョコって、一体何だろう。」
木造のドアを軋ませながら開けると、
骨董品が並び、見覚えのある女性が一人。
「アイリーンのお店にようこそ!」
「あれっ、あいりちゃん!?」
「いえ、初めてお会いします。」
目の前の女性は、先程まで一緒にいた、
イシ子の親友・村木あいりに似ていた。
…が、どうやら違うらしい。
先が尖った真紅のつば広帽をかぶり、
同じ生地のマントと変わった格好だが、
顔や声はまがいも無く瓜ふたつだ。
「あなたは人見知りのようなので、
接しやすい人に姿を変えました。」
「そんな事できるんですか?」
「私、魔女ですから。」
「では、アイリーンは本名ですか?」
「ハハッ…鋭いですね。実は違います。
でも私の本名が何なのか、
あなたにとってはどうでもいい事。
どうぞアイリーンと呼んでください。」
にわかには信じ難い事ではあったが、
確かに親友あいりとは違う人物に感じた。
物腰が同じ年には思えないほど柔らかい。
「魔法のチョコはありますか?」
「もちろん、ありますよ。」
「それは、どういうチョコなんですか?」
「いろんな魔法がかけられたチョコ。
ただしこれはプレゼント専用。
自分が食べても効果はありません。」
「一体どんな魔法ですか?」
「例えば、食べた人に自分の事を
好きになってもらうチョコとか…。」
「えっ!?それ、ください!!」
「かしこまりました。他にもありますよ。
食べた人が金持ちになるチョコとか、
総理大臣になれるチョコとか。
反対に貧乏になるとか、病気になるとか、
恐ろしい魔法のチョコもありますが…。」
「それは、いらないです。」
「他にはどんなチョコが欲しいですか。
どんな願いも叶えてさしあげますよ。」
「そうですね…例えば相手と、
いい感じの関係になれるチョコは?」
「残念ながら、それは無いです。
あなたの言う『いい感じ』が曖昧で、
それは願いのうちには入りません。」
「では、仲良くなれるチョコは?」
「どれほど仲が良いんですか?」
「普通くらいです。」
「『普通』が曖昧です。
なにか具体的な例はありませんか?」
「急に言われても…。」
イシ子は困惑した。
自然とメグヲにあげるチョコを考えていたが、
どういう関係性になりたいのかわからない。
「じゃあ、こうしましょう。
ここに白と黒、2種類のチョコがあります。
白を食べると、あなたの事を好きなります。
黒を食べると、あなたの事を嫌いになり、
その後全く見向きもしないでしょう。」
「わかりました…いくらですか?」
「初来店のサービスです。お代は結構です。」
アイリーンはにこやかに微笑み、
2つのチョコをイシ子に手渡した。

ドアを開けた途端、肌を刺す突風が吹いた。
気がつけば、そこは見慣れた街並みだった。
思わずイシ子が後ろを振り返ると、
アイリーンの洋館は跡形も無く消えていた。
「おーい、イシ子さん!」
聞き覚えのある声の方を眺めると、
メグヲが息を切れせながら駆け寄ってくる。
「どうしたんだよイシ子さん…それは?」
掌には白黒2つのチョコがあった。
それぞれ透明な袋でラッピングされており、
傍から見ても、プレゼント用とわかる。
「これは、えーと…。」
「もしかしてそれ、オレにくれるのか?」
フラれてもなお、ポジティブ発言のメグヲは
空気の読めない男子ではあったが、
その言動にイシ子は腹を立てなかった。
元々チョコをあげたかったのは事実なのだ。
白を渡すか、黒を渡すか。
「バレンタインはまだ来週でしょ。
きょうは付き合ってくれてありがとう。」
「お、おう…。」
「それじゃあ、また来週。」
イシ子はメグヲと別れ、歩き出した。
白黒どちらのチョコも渡すつもりは無い。
魔法で人に好かれたいとも思わないし、
そんな相手を好きになれる自信も無かった。
ただ、“なんとなく”を続けたかったのだ。
「メグヲさん、どんなチョコいいかな。」
イシ子は魔法のチョコをカバンに入れ、
再び駅ビルへと向かった。

アイリーンはほうきに跨り、
上空からイシ子を眺めていた。
「人間はいざという時、
大した願い事をしないものね。」
そう彼女は苦笑を浮かべながら、
白黒2つのチョコをイシ子のカバンから、
魔法を使って取り上げた。

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2019/2/8

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