丹野みどりのインスタグラム(midorimarron) - 10月3日 11時48分

長いですが、Instagramだけの方も多いのでアメブロと同じですが、こちらにも掲載しますm(._.)m

番組でもお話しましたが
久しぶりに改めて見て
素晴らしいと思った映画についてです

1974年公開『砂の器』
テレビで5回もドラマ化され
(ドラマ版では、仲代達矢さんや
佐藤浩市さん、最近は中居正広さん)
設定もその都度色々変わっていますが

やはり1974年の加藤剛さん主演の
映画が最高傑作だと思います

原作の松本清張さんご自身が
「原作を越えた」と評したとか

まず出演者が豪華です。

主演は今年6月に亡くなられた
加藤剛さん

刑事役に丹波哲郎さん
部下の刑事に森田健作さん
他、島田陽子さん、緒形拳さん
菅生きんさん、笠智衆さん…

錚々たる役者さんの
若い頃を見るだけでもすごいのですが

この映画の最も何がすごいかと言えば
『構成』だと思います。

脚本は橋本忍さん。
今年7月に100歳で亡くなられた
大脚本家で、「羅生門」や
田宮二郎さんの「白い巨塔」他、
多数を手掛けられました。

この映画のラスト40分ほどでは、
3つの場面が同時に描かれます。

①ひとつは、主演の加藤剛さん演じる
音楽家の和賀英良がコンサートで
ピアノを演奏しているシーン。

②もう一つは、刑事役の丹波哲郎さんが
捜査部屋で刑事達に犯人の種明かしを
していくシーン

③そして3つ目は、加藤剛さん演じる
和賀英良が今は音楽家として
成功しているものの
実は子どもの頃…という過去があり
実の父と日本各地を
偏見に満ちた貧しい旅を
強いられます。
その放浪の旅が、「雪の中」
「桜の中」「田園の中」…
悲しい旅なのですが、
日本の風景美を見事に捉えた
素晴らしい映像なんです。

そしてこれら3つのシーンが、
ラストでシンクロしていくという
素晴らしい構成になっています。

そしてこの作品は、
松本清張のミステリーでは
あるのですが、

実は、大事なテーマが
「ハンセン病(らい病)」です。

映画の最後にはテロップで
「ハンセン病は完治する病で
偏見差別はやめましょう」
という内容の字幕が流れます。

公開された1974年当時
ハンセン病の差別に一石を投じる作品
でもあったのです

しかし『らい予防法』という法律で、
日本ではハンセン病患者さんが
隔離されていました。

この法律が廃止されたのは1996年。
ついこの前まで、日本では
隔離政策がとられ、非人道的な事が
なされていました。

ですからこの映画は
そういったテーマにおいても
若い人にも見て欲しいし
まだご覧になっていない方
昔ご覧になった方も

是非この名作中の名作を
お薦め致します。

デジタルリマスター版で
映像もとてもきれいです。

1974年公開 加藤剛主演 『砂の器』

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