市川実和子さんのインスタグラム写真 - (市川実和子Instagram)「暮らしの手帖、記念すべき70周年記念号にて、モデルとして一枚の布をまとっております。十代の頃から読んでいた雑誌の撮影の日、珍しくどきどきしながら現場に向かいました。聞けば、企画に関わる方のお知り合いだったり、ゆかりのある方にモデルをお願いすることはあれど、いわゆるモデルを使うのは、おそらく初めてのことなのだそう。なんて光栄な！ひらくと、ぴんと背筋が伸びるような雑誌の中で、純粋に被写体として立てたこと、まさにモデル冥利に尽きる出来事でした。この写真は、とても暑い夏の日に、建築家の阿部勤さんのお宅で撮影しました。阿部さんは遊びごころ溢れる素敵なご自宅そのままに、とても軽やかでユーモアのある方でした。撮影中の待ち時間、木漏れ日が落ちるお庭を眺めていると、草が一本だけ揺れていました。風もなく、誰もいないのに、ひらひらと。あれーと思って見ていると、阿部さんにどうしたのと声をかけられました。「そこで一本だけ草が揺れているんです」と言うと「ああ」とおっしゃって、そちらの方に手を差し出しました。そしたら、それまで不思議に揺れていた草が、ぴたりと止まったのでした。阿部さんは、「ね」と言うように、ちらりとこちらを見たあとは、何もなかったような顔で違う方を向いていらした。狐につままれたとはまさにこのこと。あれは本当になんだったのかな、魔法かな。ついつい長文になってしまいましたが、暮らしの手帖10ー11月号、どうぞご覧ください。」10月1日 23時18分