実話小説最終章「思春期の男の子と女の子」 先輩たちが卒業した日、道長と話せた日、その日から僕たちは少しずつだが、まともな会話ができるようになった。 「あれ筆箱変えたん?」 「うん。あれ妹にあげてん。」 「うわ!俺がほしかったのにー!」 「ふふふふ。」 とか 「今カロリーメイトにはまってんねん!」 「うそー、うちあれ口がパサパサするから嫌い。」 「えー!おいしいやん!」 「あはははは。」 などなど、他の人が聞いたらなんやその話!おもんない!と言われるかもしれないが、それが楽しくて、嬉しくて、今まであったはずなのになぜかとても新鮮で僕の生きるエネルギーになっていた。 しかしそんな時間はすぐに終わりを迎える。 終業式がやってきた。この日が来ることで2週間の春休みに入り、道長に会えなくなる。そして1番の絶望はクラス替えだ。6クラスあった僕の学年。6分の1の確率でしか一緒のクラスになれない。数学は苦手だったが、この数字は厳しい。そのことはすぐにわかった。 もちろんだか、その時は容赦なくやって来る。 終業式は午前中のうちに終わる。グランドで校長の話を聞き流し、1年間お世話になった担任が君たちのクラスをもててよかったなどと話し、通知表をもらってあっと言う間に終了。 その日は道長と話す機会もなかった。まぁ、いいさ。3年生になって同じクラスになるくらいの運は持ってるはずさ。いいさ、いいさ。とかなんとか。半ばやけくそになりながら昼からの部活にそなえ教室で男どもと弁当をかっ喰らっていると、異様なオーラを放つ女が僕の前に。 高崎だ。 「岡下!ちょっと来て!」 出たー!!これまた怒られるやつー!! 「終業式やで?何してんの?今日一回も喋ってないやろ?いい加減にしいや!」 のやつー!!もうええって。しかし逆らえない。こうして僕は前回同様、階段の踊り場にいざなわれた。 しかし高崎はいない。 「え、びっくりした…」 超音波に近いくらいの声にもならない声が勝手に溢れた。 そこには道長が立っていた。 女子ソフトボール、運動部なのでいつもはポニーテルというのか髪を後ろでくくっている彼女が髪を下ろしていた。肩くらいまでのその髪を照れくさそうに耳にかける。そして道長 弥生は少し目を伏せ、唇をゆっくり動かした。 「もし……もしも私が………岡下君のこと好きやって言ったら……どうする?」 耳ではない。目でもない。心臓に直接その言葉は入り込んできた。ガツーンでもドカーンでもボカーンでもない聞いたことのない爆発音が頭の中で鳴り響き、全身の細胞がいっせいに動き出すのがわかる。そして僕も唇をゆっくり動かした。 「えー、それは…付き合うよ。」 面白くない答え。オシャレでもないし、何のひねりもない。0点。 道長の顔は下を向きながら後ろに手を組んで 「じゃあ好き。」 お父さん、お母さん。産んでくれてありがとう。息子はやりました。好きな人に好きって言ってもらえるこの奇跡!!動き出した全身の何兆個もある細胞の一つ一つが歓声をあげている。今の俺は誰にも止められない。そんな感情が身体を支配する。 うぉっしゃゃゃーーーーー!!!!とその場で叫びでもしてたらかわいいものだったのだが。 僕の出した答えは? 「うん。じゃあ…カップル成立ということで…」 なんやそれ。面白くもないし、かっこよくもない。ダサい。てか気持ちが悪い。 「うん。ありがとう。」 道長はそう言って顔をあげて微笑んだ。 相変わらずの魅力的なえくぼを作る。年寄りなら心臓が止まってぽっくりあの世に逝っていてもおかしくないほどの衝撃。 そんな時間が永遠ではないことを知らせるかのように部活に向かい始めるたくさんの生徒たちが階段を降りて来て、踊り場を通る。その度にみんなの視線は我々2人に。それはそうだ。思春期の男の子と女の子が絶妙な距離間で向かい合って2人とももじもじしながら立っているのだから。 あと強い視線を感じる。高崎が遠くで廊下の柱に隠れて口を押さえながら足をバタバタさしている。僕は我に返り急に恥ずかしくなる。 「あの、今日の夜…9時くらいかな。道長の家に電話するから。出てな。話したいこといっぱいある。」 「うん。うちも。……待ってる。」 「うん。」 「じゃあ、夜…」 そそくさと教室に戻ろうとする道長に 「待って!1個だけ聞きたいねんけど。」 「ん?なに?」 「俺が電話で告白した次の日学校休んだやん?あれってやっぱり気まずかったから?色々と悩んでくれたん?ごめんな。」 「え?あー、普通に風邪引いただけやで。」 「……。」 その次の日校庭の桜が咲いた。 おわり

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岡下雅典のインスタグラム(consuta_okasita) - 3月16日 18時51分


実話小説最終章「思春期の男の子と女の子」

先輩たちが卒業した日、道長と話せた日、その日から僕たちは少しずつだが、まともな会話ができるようになった。 「あれ筆箱変えたん?」 「うん。あれ妹にあげてん。」 「うわ!俺がほしかったのにー!」 「ふふふふ。」 とか 「今カロリーメイトにはまってんねん!」 「うそー、うちあれ口がパサパサするから嫌い。」 「えー!おいしいやん!」 「あはははは。」 などなど、他の人が聞いたらなんやその話!おもんない!と言われるかもしれないが、それが楽しくて、嬉しくて、今まであったはずなのになぜかとても新鮮で僕の生きるエネルギーになっていた。

しかしそんな時間はすぐに終わりを迎える。 終業式がやってきた。この日が来ることで2週間の春休みに入り、道長に会えなくなる。そして1番の絶望はクラス替えだ。6クラスあった僕の学年。6分の1の確率でしか一緒のクラスになれない。数学は苦手だったが、この数字は厳しい。そのことはすぐにわかった。
もちろんだか、その時は容赦なくやって来る。
終業式は午前中のうちに終わる。グランドで校長の話を聞き流し、1年間お世話になった担任が君たちのクラスをもててよかったなどと話し、通知表をもらってあっと言う間に終了。

その日は道長と話す機会もなかった。まぁ、いいさ。3年生になって同じクラスになるくらいの運は持ってるはずさ。いいさ、いいさ。とかなんとか。半ばやけくそになりながら昼からの部活にそなえ教室で男どもと弁当をかっ喰らっていると、異様なオーラを放つ女が僕の前に。

高崎だ。 「岡下!ちょっと来て!」 出たー!!これまた怒られるやつー!! 「終業式やで?何してんの?今日一回も喋ってないやろ?いい加減にしいや!」 のやつー!!もうええって。しかし逆らえない。こうして僕は前回同様、階段の踊り場にいざなわれた。

しかし高崎はいない。 「え、びっくりした…」 超音波に近いくらいの声にもならない声が勝手に溢れた。

そこには道長が立っていた。

女子ソフトボール、運動部なのでいつもはポニーテルというのか髪を後ろでくくっている彼女が髪を下ろしていた。肩くらいまでのその髪を照れくさそうに耳にかける。そして道長 弥生は少し目を伏せ、唇をゆっくり動かした。 「もし……もしも私が………岡下君のこと好きやって言ったら……どうする?」 耳ではない。目でもない。心臓に直接その言葉は入り込んできた。ガツーンでもドカーンでもボカーンでもない聞いたことのない爆発音が頭の中で鳴り響き、全身の細胞がいっせいに動き出すのがわかる。そして僕も唇をゆっくり動かした。 「えー、それは…付き合うよ。」 面白くない答え。オシャレでもないし、何のひねりもない。0点。

道長の顔は下を向きながら後ろに手を組んで 「じゃあ好き。」 お父さん、お母さん。産んでくれてありがとう。息子はやりました。好きな人に好きって言ってもらえるこの奇跡!!動き出した全身の何兆個もある細胞の一つ一つが歓声をあげている。今の俺は誰にも止められない。そんな感情が身体を支配する。

うぉっしゃゃゃーーーーー!!!!とその場で叫びでもしてたらかわいいものだったのだが。

僕の出した答えは? 「うん。じゃあ…カップル成立ということで…」 なんやそれ。面白くもないし、かっこよくもない。ダサい。てか気持ちが悪い。 「うん。ありがとう。」 道長はそう言って顔をあげて微笑んだ。
相変わらずの魅力的なえくぼを作る。年寄りなら心臓が止まってぽっくりあの世に逝っていてもおかしくないほどの衝撃。
そんな時間が永遠ではないことを知らせるかのように部活に向かい始めるたくさんの生徒たちが階段を降りて来て、踊り場を通る。その度にみんなの視線は我々2人に。それはそうだ。思春期の男の子と女の子が絶妙な距離間で向かい合って2人とももじもじしながら立っているのだから。
あと強い視線を感じる。高崎が遠くで廊下の柱に隠れて口を押さえながら足をバタバタさしている。僕は我に返り急に恥ずかしくなる。 「あの、今日の夜…9時くらいかな。道長の家に電話するから。出てな。話したいこといっぱいある。」 「うん。うちも。……待ってる。」 「うん。」 「じゃあ、夜…」 そそくさと教室に戻ろうとする道長に 「待って!1個だけ聞きたいねんけど。」 「ん?なに?」 「俺が電話で告白した次の日学校休んだやん?あれってやっぱり気まずかったから?色々と悩んでくれたん?ごめんな。」 「え?あー、普通に風邪引いただけやで。」 「……。」 その次の日校庭の桜が咲いた。 おわり


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2018/3/16

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