シトウレイのインスタグラム(reishito) - 2月26日 19時53分

「 コンビニ人間」村田沙耶香：読了。 「普通」って何だろうって思う。「普通」ってどんなのが「普通」で、
それにはどんな価値があるんだろう。

世の中的は「普通」であることを、真綿で首を絞めるかのような無言の圧力で強いている。

学校行ってないの？彼氏（彼女）出来た？就職しないの？
正社員じゃないの？結婚しないの？子供作らないの？ 「普通」の人が「普通」でない人に、善意という名で、または無邪気な好奇心という名目で不躾に干渉する。
自分より「普通」において劣る人（って言い方もアレですが）を無意識で見下していたりする、普通に。

昨今話題のフェミニズムとかの問題は顕在化しやすかったりするけれど、この「普通」問題は無自覚の差別でるだけに尚更に根が深い。

主人公は30代女子未婚、コンビニバイト、過去に付き合った男性はゼロ、そして恐らくアスペルガー的な性格で（物語世界で彼女の感情は全く描写されていない）、この「普通」であることをやんわり押し付けてくる世の中に素直に不思議さを感じてる。 「普通」のスペックから外れてしまった彼女は世の中に対するその違和感を善悪で判断するのではなく、
世間が「普通」であることを是としている以上、それにずれない用にマニュアルを妹から教えてもらい、黙々とそれをこなした生活をする。

だからこそ、マニュアルが徹底したコンビニという空間は彼女が一番彼女らしく生きられる場所なのだろう。
彼女らしく生きる事を選んだクライマックス。
私の中の「幸せ」と「常識(≒普通)」は天秤にかけられながら落とし所が見つからない。なので彼女の決断に対して言葉がうまく見つからない。 「夫のちんぽが入らない」（個人的には今の所今年のベスト！）とも通じる同じテーマがこの文学にも入ってる。

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